動物保護施設で犬を撲殺 だがその犬の命を捨てたのは飼い主
公開日:
社会・政治
神奈川県平塚市の動物保護センターで、従業員が施設内の犬に咬まれたことに腹を立て、金属の棒で殴打し、死亡させました。
しかし私は、そのことより、その犬がセンターに収容された理由を問題にしたいと思います。
なんと、病気になったため飼い主に捨てられた犬でした。
清掃従業員が収容されている犬を撲殺
4日、神奈川県平塚市の動物保護センターで、受託業者の50代の男性従業員が犬舎の清掃作業中、収容されていた犬に手を咬まれたことに腹を立て、金属製の組み立て式の檻の支柱(直径約1cm)で、頭や腹を殴りました。
センターの職員が、瀕死の状態の犬を発見し、男性を問いつめたところ白状したそうです。
犬は、メスのミニュチュアダックスフンド(10歳以上)で、その後死亡しました。
神奈川県警平塚署は、動物愛護管理法違反の疑いで調べています。
犯人は、犬に対する愛情も無く、感情の制御や力加減も分からない、単に清掃を受託していた、そんな男です。
ミニュチュアダックスは撲殺され可哀想でしたが、その犬はいずれにしても殺処分される運命でした。
※8月5日追記・訂正
コメント1でご指摘いただきましたので、調べましたところ、
このミニュチュアダックスは、来週、ボランティアに引き取られる予定だったとのことです。お詫びして訂正します。
また、この動物愛護センターは、収容した犬の引き取りに積極的に取り組み、ボランティアの協力等もあって、2013年度は殺処分ゼロを達成しています。
ただし、そのことで、この10歳のミニュチュアダックスを捨てた飼い主の行為が減免されるわけではないと思います。
センターが発表したコメント↓
神奈川県動物保護センターにおける犬の死亡事故に係る対応について
※動物愛護管理法
愛護動物をみだりに殺したり傷つけたもの
→2年以下の懲役または200万円以下の罰金
動物愛護(保護)センターとは
動物愛護(保護)センターを「動物を愛護(保護)している施設」と思ってる人はいませんよね。
野良犬(最近はほとんど見なくなりました)や、迷子になった飼い犬、飼い主が放棄した犬やその他愛護動物を、一定期間預かり、その後に殺処分する施設です。
収容した犬猫の譲渡会や、正しい飼育の啓発活動も行っています。
また、ペットが亡くなった場合、遺体を持ち込むと焼却してくれます。
ただし、民間のペット火葬場のように遺骨は返してくれません。
他の遺体と一緒に焼却し、産業廃棄されます。
ペットを捨てにくる理由
・飼い主の病気や高齢化、死亡で飼育できなくなった
・咬み癖で手に負えない
・子供のアレルギー
・予定外に妊娠し、子供を産んだ
・大きくなったら可愛くなくなった
・大きくなり過ぎた
・子供が飽きた
・引っ越す
・年を取った
・病気になった
これらは、動物愛護センターにペットを捨てにくる理由です。
今回のミニュチュアダックスも、「ヘルニアになったから」でした。
殴って殺したのは男性従業員ですが、生きる機会を断ったのは飼い主です。
ダックスのような胴長短足の犬種は、腰椎ヘルニアのリスクが高いのは常識です。
飼う前からそのことは分かっているはずですし、分かっていなかったら飼育前の勉強がなっていません。
治療すべきですし、治る見込みが無く寝たきりになり、どうしても飼育することができなくなったとしたら、自分で獣医に安楽死を依頼し、その施術を見届けるべきです。
それが「ペットを飼うということ」です。
自治体はペットの引取りを拒否できる
そもそも、2013年9月に改正された「動物の愛護及び管理に関する法律」では、
犬猫等の終生飼養を原則とし、相当の理由がない限り、自治体はペットの引取りを拒否できるようになったはずです。
1.犬猫等販売業者から引取りを求められた場合
2.引取りを繰り返し求められた場合
3.繁殖制限のための指導に従わず子犬・子猫の引取りを求められた場合
4.犬猫の老齢・疾病を理由として引取りを求められた場合
5.飼養が困難であるとは認められない理由により引取りを求められた場合
6.譲渡先を見つけるための取組を行っていない場合
神奈川県動物保護センターのHPにも、「飼えなくなった動物の引取り」の項に、
「動物が年をとった、病気だからという理由の場合は、引取りをお断りすることがあります」と書いてあるのに、なぜこのミニチュアダックスを引き取ったのでしょうか?
熊本市の殺処分ゼロへの取り組み
動物愛護センターの職員も、好き好んで殺処分しているわけではありません。
相当なストレスにさらされていると思います。
全国で年間約20万頭以上の犬猫が殺処分されている中、九州の熊本市 動物愛護センターは、2002年から「殺処分ゼロ」を目指して活動しています。
事務的に引き取りをせず、説得や、時には説教をしたり、
譲渡会でも、老いたペットの世話の大変さまで説き、ペットを飼うことの覚悟を求めるといった取り組みを始めました。
場合によっては、飼い主を殺処分に立ち会わせたりしました。
また、収容しているペットを、1匹ずつ日当りの良い屋外に出したり、給餌も1匹ずつ別々にしたりと、飼育環境も改善しました。
それらの取り組みの結果、譲渡会での引き取りも増え、殺処分が年間約400頭から、1桁に減りました。
この活動は全国に影響を与え、前述の改正された「動物の愛護及び管理に関する法律」にも繋がっていると思います。
(詳しくはこちらをブログをどうぞ:殺処分0の街ー「熊本市動物愛護センター」訪問記)
最後に、この熊本の取り組みに関する記事を引用します。
「噛み癖があって飼えない」60歳代の男性はそんな理由で、コ-ギ-を持ち込んできた。元々飼っていた息子が海外転勤になり、自分が面倒を見ることになったという。「犬が悪いことをしたんだから、罰を受けて当然だろう」そう主張する男性に対し、小山信係長がこう詰め寄った。
「噛んでいいと教えてしまったのはあなたの息子ではないか。息子の失敗を、なぜこの犬が命をかけて償わなければいけないのですか」またある時は、引っ越しで飼えなくなったという女性が来た。小山さんはまずこう諭した。
「ここに来れば、この犬は命を絶たれます。飼い主としての最後の責任を果たすため、新たな飼い主を探してください」
だが、女性は、30人ほどの知人にあたったが、見つからなかったと説明する。それでも、小山さんは食い下がる。「たった30人に聞いて回ったくらいでこの犬が殺されるなんて、理不尽じゃないですか?」
NPO法人 横浜アニマルファミリー 殺処分ゼロ 熊本の挑戦 AERA記事
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Comment
「その犬は、いずれ殺処分の運命でした」
誤報ですよ!
訂正してください。
殺されたダックスは、保健所から出される(引き取り)が決まってて、出されるはずでした。
殺されなかったら、新しい飼い主と新しい犬生を送ってましたよ
ご指摘ありがとうございます。
記事を訂正いたしました。
問題のすり替えは人間の悪い癖、その場を取り繕う愚劣な表現
平塚の犬舎はコンクリ-トに清掃用の水を撒かれた折の中。あの環境はいずれ殺される処刑場そんな中にいれば恐怖でかむのは当たり前。捨て犬を引き取りに行った時に感じた。動物業務で職を得てるはずが雇い主を殺すとは考えられない。病に触れられればかむのは当然、こんな業者を雇うほうも同罪だ。この所、動物の受難がつずく。悪いのはすべて人間。この男に受難を
人間の安全や衛生問題まで破壊するほど野放しにはできない。適度に動物を処分しなければいけないのは、現実的な対処として知っておくべき。