4分で分かるスコットランド独立のナゼ？ 18日に住民投票

18日、スコットランドがイギリスから独立するかどうかの住民投票が実施されます。

世論調査では、賛成派が僅かにリード。

なぜ今、独立したいのか？独立したらどうなるのか？

4分で分かる解説です。

 
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9月18日スコットランド独立賛否の住民投票

9月18日の住民投票は、スコットランド在住の16才以上に投票権があり、投票率に関係なく賛成過半数で可決され、2016年にイギリスから独立することになります。

スコットランドはイギリス北部にあり、国土面積はイギリスの約1/3を占めますが、人口は約1/12の530万人です。

日本だと東北地方が独立するといったイメージでしょうか。一大事です。

そもそもイギリスとは

イギリスの正式名称は、グレートブリテン及び北アイルランド連合王国
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland

イングランドが、順にウェールズ ，スコットランド，北アイルランドの3つの王国を実質的に吸収合併したものです。

もちろん波風が立たなかったわけではなく、力や政策などで押さえ込んできました。

例えば、イギリスの皇太子なのに、なぜプリンス・オブ・ウェールズと呼称するのか？

その昔、出産間近の王妃をウェールズに連れて行きそこで産まれた王子を、「民よ！ウェールズ生まれの王子が次期国王になるのだ」なんてことを言いながら、ウェールズの住民を無理矢理納得させたのが、起源と言われています。

近年では、1960年代からつい最近まで、北アイルランドで激しい紛争やテロ活動が行われました。

IRA（アイルランド共和軍暫定派）によるテロ活動は、映画等でもよく登場します。
パトリオット・ゲーム（ハリソン・フォード）、刑事コロンボ「策謀の結末」、パイナップルARMYやMASTERキートン（作画浦沢直樹）などなど。

合併後のスコットランド

スコットランドで思い浮かぶのは、スコッチウィスキー，バグパイプ，タータンチェックやアーガイル，キルト（タータンチェックのスカートのような民族衣装）。

そして、ネス湖や、ゴルフの全英オープンのセントアンドリュースもスコットランドにあります。

ちなみに、ゴルフやサッカーは発祥の地なので、全英オープンやサッカーワールドカップの参加選手やチームの国名は「イギリス」ではなく、前述の4地域それぞれでエントリーされます。

スコットランドは1707年に合併されましたが、イングランドの重税等の圧政に苦しみました。

酒も増税されたので、見つからないよう木樽に入れて隠したところ美味しくなってしまい、スコッチウィスキーが産まれたと言われています。

近年では、1979年に誕生したサッチャー政権が、スコットランドの炭坑閉鎖を進め失業者が急増したり、人頭税を先行導入して増税を課すなど、スコットランドに厳しい政策をとりました。

イギリスから独立したいのはナゼ？

元々、自分たちをイギリス人ではなくスコティッシュと名乗るなど民族意識が強く、独自の言語といった文化的な背景に、不公平な施策が加わり、独立の機運が高まりました。

イギリス政府はそれをなだめるため、1996年〜1999年、3地方にそれまで無かった議会を設置し、地方自治を認めました。

しかしスコットランドではそれが裏目に出て、スコットランド議会がイギリスからの独立運動を推進。

その背景には、1975年から産油が始まった北海油田の存在があります。

埋蔵量はヨーロッパ随一で、油田の主要海域がスコットランド地域にも関わらず、イギリス政府に年間8200億円という税収を吸い上げられているという経済的不満と、人口が少ないので意見が反映されないという行政的不公平感が、独立の大きな動機です。

そして2012年10月、イギリス政府とスコットランド議会が、住民投票の実施で合意しました。

その投票が、9月18日に行なわれ、翌日には結果が判明します。

慌てるイギリス政府

8月7日には反対61％だった世論調査が、徐々に賛成が伸び、9月7日には賛成51％と逆転しました。

この結果に政府は慌て、キャメロン首相や野党の労働党幹部も国会をキャンセルしてスコットランドに飛び、自治権の拡大や税制優遇を提案したり、情に訴えながら、懸命に引き止め工作をしています。

また、政府機関の建物にスコットランドの旗を掲げて敬意を表す姿勢を見せています。

しかしイングランドの住民は、
「キャメロン首相は説得できないと思う」
「投票が1週間後に迫って旗を掲げても、僕だったら騙されないね」
と笑っていました。

著名人も賛否を表明

スコットランドの有名人も賛否を表明しています。

賛成派は、ショーン・コネリー，ジェラルド・バトラー，ロビー・コルトレーン

反対派は、ハリーポッター著者のJ.K.ローリング，スーザン・ボイル，ユアン・マクレガー

他の3地方の住民も独立反対派が「このままとどまって（let’s stay together）」というサイトを立ち上げ、10万人以上の署名が集まっています。

こちらも、著名人ではポール・マッカートニー，ミックジャガー，スティング，ホーキング博士らが名前を連ねています。

しかし、確か、都議会のセクハラヤジ議員や、テキサス親父の「慰安婦像設置に関するアメリカ政府への質問書」のネット署名は、すぐに10万人を超えた記憶がありますので、「国の独立」という大きな問題にしては、たいした人数ではない気がします。

また、エリザベス女王も非常に懸念しているそうです。

賛成多数で2016年の独立に向けて準備開始

18日の投票で賛成多数になると、2016年3月24日の独立に向けて、準備が始まります。

しかし、例えば通貨は、スコットランド行政府はポンドをそのまま使うとしているのに対し、イギリス政府は「使わせない」。

北海油田は、「収益の9割をいただく」vs.「認めない」など、当然ながら、基幹部分で大きな隔たりがあります。

北海油田の地理的な状況（上図の赤で塗りつぶした部分）では、スコットランドは、国境（黄色の線）を横に緯度線に沿って引き、北海油田の大半を自分のものにできると皮算用していますが、国際慣例では国境の延長線で引きますから、斜め上に走り、半分程度はイギリスのモノになります。

また、イギリス海軍で、唯一核兵器を運用している基地はスコットランドにあるなど、安全保障面でも大きな問題があります。

国旗はどうなる？

ユニオンジャックは、イングランドとスコットランドと北アイルランドの3つの旗を合わせたものです。
ウェールズは、ユニオンジャックが作られるずっと以前に合併されたため反映されていませんが、もしスコットランドが抜けると、絵面が寂しくなるので、グリーン部分が採用されるかも？と言われています。

↓こんな感じ？

国際社会への影響

スコットランドが独立した場合、同様に独立問題を抱える、スペインのカタルーニャやバスク、ベルギーの北部と南部（言語も違います。北はオランダ語（フラマン語）、南はフランス語）やロシアなどに大きな影響を及ぼすでしょう。

また、イギリスは国力が低下しますので、国際経済や、イギリス軍による世界の安全保障にも影響は避けられません。

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