数十万人のデモで混乱 香港で何が起こっているのか?
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海外
国慶節の今日、ホンコンでは数十万人のデモが各地で発生し、返還後最大の混乱が起きています。
今後は大規模な衝突も懸念されていますが、香港で何が起こっているのでしょうか?
きっかけは選挙制度の改変
先月下旬から学生デモが起きている香港では、今日はさらに各所でデモが発生。
10月1日は、毛沢東が中華人民共和国の成立を宣言した国慶節という中国の祭日のせいもあるでしょうが、デモは数十万人という大規模なものになっています。
発端は、5年に1度行なわれる香港のトップである香港行政長官の選挙制度の改変に反対した学生デモでした。
香港の選挙制度
2012年まで | 2017年から | |
---|---|---|
選挙権 | 1200人の選挙委員のみ | 18歳以上の香港市民 |
候補者 | 制限無し。自由に立候補 | 1200人の指名委員会の過半数の賛成 |
これまでの選挙は自由に立候補できましたが、次回の2017年は、1200人の指名委員会の過半数の指示を得た人だけが立候補できるようになります。
指名委員会は当然のことながら中国政府のコントロール下にありますので、中国政府の意に沿わない民主化推進の人などが立候補できる可能性は全くありません。
そして、候補者は2〜3人に絞る意向です。
これは、中国の全国人民代表大会(全人代)の常務委員会で決定したことなので、最終決定とされています。
デモ拡大の経緯
9月22日:大学生が授業ボイコット
25日:4000人のデモが発生
26日:1200人の中高生がデモに参加
28日:香港警察がデモに対し、催涙弾約90発を撃ち込み、逮捕者89人、負傷者80人
29日:デモが一気に10万人規模に拡大
学生のデモは平和的な座り込みで、しかも中高生という子供がいるのに強硬姿勢に出たことに香港市民が反発しました。
また、学校側がデモ参加者を退学させると脅したり、退学を強要したりしたことも反発を招きました。
その後、催涙弾防御用として多くの人が傘をさしたため、雨傘革命(umbrella revolution)と呼ばれています。
デモ地点を通る路線バスら路面電車の一部が運休したりと、交通に支障が出ています。
付近の学校が休校し、20以上の銀行が休業したり、休業する店も出るなど経済や市民生活に影響が出ています。
また、国慶節の大規模な花火大会も中止されました。
これから香港旅行を計画されている人は、現地の情報の収集等、注意が必要です。
10月1日の大規模デモ
今日のデモは、金融街のセントラル,官庁街のアドミラルティ,日本人観光客にもなじみの繁華街コーズウェイベイやワンチャイ,モンコックで発生しており、参加者はさらに増え、数十万人規模となっています。
しかし、道路にシートを引いて飲食したり、ブラブラしたりと、ホコ天のようなのんびりした光景です。
日傘代わりに使っている雨傘が目立ちますが。
デモ地点には、市民が水や食べ物を支援する物資センターや、2階建てバスを使った医療センターには看護師が常駐し、薬が準備されています。
警官とは対峙しておらず、警官の姿自体ほとんど見かけません。
強攻策で批判が高まったので、住民を刺激しないよう配慮しているのでしょう。
徐々に中国化する動きへの反発
1997年、香港がにイギリスから返還された際、鄧小平が50年間は社会・経済制度を変えないと発言し、1国2制度が実施されています。
しかしイギリス植民地時代の香港総督も、当然ながら住民投票ではありませんでした。
また前回までの選挙も、政府に選ばれた1200人の選挙委員による投票でしたので、自由に立候補はできても、当選するのは政府の意に沿った人でした。
さらに、2012年に教科書に愛国教育を導入しようとして9万人デモが起きたように、徐々に「中国化」を図るいろんな動きがあり、住民は警戒しています。
そして、香港政府が2017年から普通選挙に近い選挙をすると表明していたにも関わらず、今回の選挙制度になったことで、その期待はずれが今回の「民主化運動」の原因になったのでしょう。
明日には衝突か?
学生側は、2日までに梁振英行政長官が辞任しない場合には、香港政府庁舎や議会等の政府機関を占拠すると宣言しています。
香港政府は妥協の余地はないとしているため、明日以降、警官隊との衝突が懸念されています。
しかし、ホワイトハウスなどが支持を表明し国際社会の注目が集まっていることから、中国共産党は、香港独立を言い出したり、よほど過激な行動に出ない限り武力行使はしないと見られていますので、いきなり天安門のようにはならないようです。
今、天安門を繰り返したら、中国共産党が倒れる可能性もあるでしょうから。
なお、中国共産党は報道規制をしており、台湾のテレビやNHKのこのデモのニュースは、画面が真っ黒(ブラックアウト)になります。
中国政府のファイアウォールである「金盾」も、この問題が中国国内に流れないようやっきになっていますが、利用者の「暗号化」の動きに追いついておらず、徐々に拡散しているようです。
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