小笠原諸島の赤サンゴ密猟 中国漁船団には中国当局の意図?
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社会・政治
小笠原諸島の海域に113隻もの中国漁船が押し掛けています。
目的は、中国で需要が高まっている赤サンゴの密猟だと言われていますが、その裏には、中国当局の意図が隠されているという指摘もあります。
113隻の中国漁船団
小笠原海域に中国漁船が多く出没し、10月に入って海上保安庁が3隻を検挙しました。
23日には、113隻もの漁船団が確認されました。
このような動きに対し、海上保安庁の佐藤雄二長官は15日の会見で、
「一攫千金を狙った赤サンゴの密猟が目的」との見解を示しました。
高騰する赤サンゴの価格
沖縄の浅瀬等に広がる珊瑚礁は年に15〜20センチ成長しますが、200〜300mの深海に生息する赤サンゴは年に1ミリ程度しか成長せず、養殖もできません。
中国では、赤は「福の色」で、赤サンゴは「魔除け」や「富の象徴」として珍重されており、宝石サンゴとも言われています。
さらに近年の富裕層の増加で需要が増え、価格が急騰しており、日本の1kg当たり平均取引価格も、2005年の28万円から2012年には158万円と5.6倍も上がっています。
状態がいいものは、5000万円の枝サンゴや1000万円以上のネックレスもあるようで、今後も供給量が増えない事から、中国では投資対象にもなっています。
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中国では採取禁止
台湾近海や東シナ海、高知沖そして小笠原近海に生息しますが、中国では「国家一級重点保護野生動物指定」というパンダ並みの保護をされており、採取は禁止です。
そのため中国漁船は沖縄近海で密猟をしていましたが、乱獲で水揚げが減ったのと、尖閣問題で警戒が厳しくなったため、小笠原まで進出したものと言われています。
需要の高まりで、日本の漁獲高も急増しましたが、ここ1〜2年は、禁漁期間を延ばす等の保護を行ない、漁獲高は横ばいとなっています。
小笠原でも、東京都の許可を得た事業者が、漁場を規制された上で、無人潜水艇のロボットアームで丁寧に採取しています。
しかし、中国漁船は底引き漁法で海底を根こそぎ採取するので、赤サンゴはもちろんのこと、魚の産卵場所等が無くなるなど生態系を破壊しています。
小笠原では15年前にも台湾漁船の大規模な密猟で漁場が破壊され、漁獲高が激減。
台湾当局の規制強化で密猟が無くなり、最近ようやく回復したばかりでした。
小笠原海域全体で海保の巡視船は4隻
太田国交相は24日、海保の大型巡視船と航空機を集中的に投入する方針を明らかにしました。
その増強の規模は分かりませんが、現状は、小笠原海上保安所に巡視船1隻。
かなり広域な小笠原海域全体で4隻しか配備されていません。
それに対して中国漁船は113隻。
しかも、領海を航行しているだけでは警告することしかできません。
検挙できるのは、密猟の現行犯か、立入検査を拒否した場合です。
さらに、中国漁船はレーダーで探知し、巡視船が接近すると海域から離れます。
立入検査を拒否して逃走した場合、獲った赤サンゴを海に捨てて証拠隠滅しますので、だ捕しても密猟の立証は困難です。
また、おとり役の船を用意し、その間に他の船を逃がす場合もあります。
だ捕した場合、日本本土に曳航しなければいけませんが、片道2〜3日掛かりますので、その間は小笠原海域から巡視船が1隻不在になります。
採算が取れない漁船団
赤サンゴの漁獲高は年間約25億円で、その内の半分は高知沖で獲れ、小笠原は数億円程度です。
それも、無人潜水艇のロボットアームで丁寧に採取した状態のいい赤サンゴの場合で、底引き網でボキボキ折れたものは数分の1の商品価値になってしまいます。
中国漁船には、1隻に20~30人の乗組員がいますので、25人として113隻で2825人。
上海からでも2000km以上ありますので、燃料費が1km100円として往復40万円×113隻で4520万円。
仮に数週間で1億円の水揚げがあったとしても、(1億円ー4520万円)/2825人で、1人当たり約19,400円。
さらに食料費等も掛かります。
採算が取れるとは思えません。
中国政府の許可無しでは出航不可能
いくら一攫千金を狙うとはいえ、113隻はあまりに多過ぎます。
3隻だ捕されても撤収しませんし、レーダーやおとり船など、統率が取れ過ぎています。
陸地から見える位置で操業しているのも不自然です。
島民を威嚇しているようにも思えます。
実際、小笠原小学校では子供が1人で海岸に近づいたり夜間外出しないよう注意喚起したビラを配布しました。
そもそも、数隻であればともかく、113隻もの大船団を動かすのは、中国当局の許可なしでは不可能です。
尖閣を避けて小笠原に来たのではなく、尖閣の警備を分散する中国当局の意図があるのではないか。
または、来月のAPECでの日中首脳会談に向け、尖閣の領土問題を認めるよう揺さぶりを掛けているのではないかという疑念が生じます。
日本が取るべき手は?
日本政府は、外交ルートで中国側に注意喚起していますが、効果はありません。
冬になると海が荒れますので、その内居なくなるでしょう。
しかし、今後も繰り返され、小笠原の貴重な自然が壊されて島民の生活も大きな影響を受けるかもしれません。
対抗するには、海保を増強して手加減せずに摘発すると共に、世界に対して中国の環境破壊行為を報せ、環境保護の必要性を訴える必要があります。
5月、フィリピンが中国船をだ捕しましたが、海亀の密猟船でしたので、国際社会が味方に付き、中国の抗議(言い掛かり)を抑えられたという好例があります。
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