「卓球 平野美宇がフラッシュにイラッ」そもそも観客席からフラッシュは届かないのにね
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生活・文化
卓球の平野美宇選手が、17日の準決勝・決勝で、観客席からのフラッシュ撮影に不満を露わにしました。
スポーツ中継でよく見かける観客席のフラッシュ閃光ですが、被写体である選手にはその光は絶対に届かないのでメリットはなく、むしろ写真の画質を悪化させるデメリットがあります。
そのことを、メーカーはもっと告知すべきでしょう。
フラッシュ撮影で平野美宇の試合が中断
平野美宇、観客席フラッシュにイラッ「やめてほしい」ーYahooニュース・デイリースポーツ
1月17日に東京体育館で女子シングルスの準決勝と決勝が行われた卓球の全日本選手権の記事。
中学生として初めて決勝に進んだ注目の平野美宇選手(15歳)は、石川佳純選手に敗れ準優勝に終わりました。
最終日の会場は1コートだけとなり、観客席の照明を落とす演出がされました。
運営側からは「カメラのフラッシュはお切りください」と再三場内アナウンスされたものの、試合中、たびたびフラッシュの閃光が。
平野選手は、それを嫌い審判にアピールし試合が中断。
その都度場内アナウンスされましたがフラッシュが繰り返されたので、ついにはカメラ撮影そのものが禁止されたそうです。
記事は、「心無い一部の観客」や「2020年東京五輪の観戦マナーの徹底が求められる」といった表現で締め括られています。
※フラッシュ、ストロボ、スピードライトと呼び方はいろいろありますが、この記事ではフラッシュで統一します。
スポーツ観戦でストロボを光らせても全く効果はなく、むしろ画質が悪くなる
今回に限らず、野球やサッカー他の夜間のスポーツイベントのテレビ中継でも、観客席でフラッシュが光っているのをよく目にします。
それを目にするたびに「アホやなぁ」と思っていました。
観戦マナー以前に、フラッシュを切る(発光しない)モードにすることを知らずに、自動発光させているだけでしょう。
そして、そもそも、観客席からフラッシュを光らせても全く意味がないどころか、写真の画質が悪くなるだけというのを知る由もないと思います。
ストロボの到達距離は数m~10数m
フラッシュは、被写体が暗い(光量が足りない)時や、被写体の動きが速い時に使います。
フラッシュの閃光時間は約1/1,000秒〜1/数万秒という短時間なので、一瞬の動きを撮影できるのです。
ちなみに、光量を少なく設定するほど閃光時間が短くなります。
フラッシュの閃光時間の短さを利用した写真では、ミルククラウン(上の写真)が有名でしょう。
しかし、被写体を照らすだけの充分な光量が届くのは、ごく近い距離だけです。
カメラにある程度の知識がある人はそのことを知っていますので、観客席からフラッシュを光らせてる人は、カメラの知識がない人、すなわちコンパクトデジカメのユーザーでしょう。
コンパクトデジカメに内蔵されているフラッシュの到達範囲は、せいぜい3〜4mなので、被写体である選手たちには全く届きません。
さらに、カメラは被写体の距離に応じて、フラッシュの光量や絞り値(F値)を自動調整しますが、被写体が遠いので、全開(一番明るく写るモード)で撮影し、被写体の明るさと合っておらず、露出がオーバーやアンダーの写真になります。
加えて、会場に埃が舞っていると、それにフラッシュの光が反射し、極端な場合、雪が降っているような写真になります。
フラッシュのガイドナンバー(GN)とは?
フラッシュの光量は、GN(ガイドナンバー)という数値で表されます。
アナログ時代の初期のフラッシュは、GNは自動可変ではなく一定でしたので、被写体の距離によって絞り値(F値)を手動で合わせました。
絞り値(F値)=GN/被写体までの距離
例えば、GNが32で、被写体までの距離が4mだとすると、絞り値は8となります(ISO100の場合。以下同じ)
この式で、フラッシュの最大到達距離もわかります。
レンズの明るさF2.8だとすると、絞りを全開にしても、
フラッシュの到達距離=GN(32)/F値(2.8)なので、11.4mとなります。
このGN32クラスというのは、上の写真のような一眼レフの上部などに外付けするフラッシュの性能です。
コンパクトデジカメの内蔵フラッシュだと、せいぜいGN10でしょう。
そうすると
フラッシュの到達距離=GN(10)/F値(2.8)=3.57m
となります。
観客席からフラッシュを光らせても、2〜3列前の席しか届きません。
なお、現在のカメラに標準的に装着されているズームレンズの場合、広角側か望遠側かによってF値が変わります。
ちなみに取扱説明書の仕様表にはそのことが記載されていますが、メーカーはその到達距離が短いことをもっと告知すべきだと思います。
また、カメラのISOの設定値によってストロボの到達距離は変わります(ISOの数値を大きくすると感度が高くなり、フラッシュの到達距離は長くなります)
フラッシュを光らせずにスポーツ観戦するには?
では、夜間のスポーツ観戦のような、被写体が遠い時には、どうすればいいのか?
ひとつは、ストロボをoff(発光しない)にします。
もうひとつは、光量が足りなくても写るようにカメラのISO感度を高くします。
デジカメは暗い被写体でも驚くほど明るく撮れますし、手ぶれ補正機能が付いていますのでスローシャッターでも、比較的きれいに写ります。
しかし、手ぶれ防止や動きの速い被写体を撮るためには、できるだけ速いシャッタースピードにする必要があります。
手ぶれ防止のためには、少なくとも1/30秒以上が必要で、動きの速いスポーツを撮る場合は、少なくとも1/250秒以上、できれば1/500秒以上が必要です。
そのシャッタースピードになるよう、カメラのISO感度を高く設定してください。
なお、ISO感度を高くすると、一般的に画質が荒くなり、発色の鮮やかさも低下しますので、やみくもに高くすればいいと言うわけではありません。
設定方法は、機種によってマチマチですので、取扱説明書を参照してください。
また、機種によっては、もっと簡単にシャッタースピードを速くするモードを備えている場合もあります。
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