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土佐犬と土佐闘犬は別モノ 逮捕された土佐犬襲撃事件の飼い主の悪質さ

公開日: 社会・政治

この記事の所要時間: 425

土佐闘犬

北海道で主婦が土佐闘犬に襲われ死亡した事件。
土佐闘犬の飼い主は主婦を助けずに証拠隠滅を図った容疑が。

ところで、土佐犬と土佐闘犬は本来、別種の犬です。
ご存知でしたか?

 

当初、警察は事件性を見落とした?

今年の2月、北海道の海岸で主婦(59才)が溺死した事件で、リードから放された土佐犬2頭が襲ったのが原因として、飼い主の男(65)が4月23日に逮捕されました。

【事件の経過】

10AM頃:被害者と夫が海岸を訪れ、夫は庭に敷く小石を探し、被害者はウォーキングへ。その後、夫から携帯に連絡するが不通

1PM頃:容疑者が波うち際で溺死体を発見したと届け出

6PM頃:警察から被害者夫へ「身元不明遺体の携帯に着信履歴があった」と連絡

警察は当初「波にさらわれて溺死した後に、鳥やキツネに咬まれた可能性が高い」と説明したそうです。

夫はその説明に納得せず、「日常的に土佐犬を海岸で放す男がいる」という情報や、被害者の携帯電話の歩数計機能の記録から推察される死亡推定時刻と遺体発見時刻の差が、約2時間であることから、そのような短時間に鳥やキツネが付けたような軽いキズではないと訴え、その後警察は事件として動き出したとこのと。

被害者の夫の訴えがなければ、事故死として処理されていた可能性があるということですよね。

ゾッとします。

検死をすれば、咬まれたのが生前なのか死後なのか、すぐに分かると思います。
生活反応というやつです。

CSI(アメリカの鑑識を舞台にした長寿TVドラマ。日本でもパクリドラマがいくつかあります)では、検死の際、必ず最初に、遺体の外傷が生前なのか死後なのかレポートされます。

変死体検死の基本中の基本だと思いますが、この警察は、遺体発見から5時間以上経っても、それすら確認していなかったということですよね。

 

事件や事故の遺体の検死率は低い

死亡事故,事件の時、遺体は必ず検死されるというイメージがありますが、実際はそうではありません。

以前「相棒」でも、人手不足による日本の検死率の低さをテーマにしたエピソードがありました。

ただ、最近は改善傾向にあり、2010年に20%台だった検死官の臨場率が、2012年には49.7%に上がっています。
日経新聞2013/2/7の記事

ただ、上がっても、2件に1件しか臨場していないということです。
さらに解剖は、10件に1件程度。

現場で多くの事件死が見落とされている可能性がありますね。

 

容疑者は襲われている被害者を放置した?

話しを今回の事件に戻します。

土佐犬のような超大型で、かつ凶暴だと広く認識されている犬が放されていたら、たいていの人は怯えて逃げようとするはずです。

犬は、もともと動く物を追う習性があり、土佐犬が追って来たので被害者はさらに走って逃げたのではないでしょうか。

他の犬種だったら、単に追いつくだけだったり、じゃれついたりするだけですが、凶暴な性格の土佐犬は襲いかかって咬んだのでしょう。

このような犬種を放して運動させていたというだけでも、容疑者の責任は重大ですが、さらに悪質な容疑があります。

自供に寄ると、

10:30AM頃?:被害者の悲鳴を聞いて駆けつけると、犬が被害者を襲っているのを目撃

同時刻?:1頭を流木に繋ぎ、1頭を海岸の入り口付近に停めていたRV車に乗せた

同時刻?:そのRV車で現場に戻ろうとしたら砂に埋まって動けなくなった

0:30PM頃:知人宅に行き「クルマが埋まった」と助けを求める

同時刻:知人と海岸近くのGSに行きクルマの救助を頼むが断られる

同時刻?:知人と現場に戻る

1PM頃:知人と駐在所に溺死体発見を届け出

 
最初に発見した時は、興奮した土佐犬2頭を制圧するのが精一杯で、被害者の救助ができなかったのは、分からなくはありません。

しかし、クルマが埋まった後の行動が許せません。
クルマが動かなかったら、走って行けばいい。

いや、実際は行ったのかもしれません。

そこで、動かなくなっていた(あるいはまだ動いていた)被害者を見て、事の重大性に恐れをなした。
周りには人はいない。

シラを切ることを決意し、被害者を放置したまま、流木に繋いでいた1頭を連れて現場から立ち去ったのでしょう。

しかし、どうやってもクルマは動かない。

相談した知人に促されて駐在所に行ったものの、溺死体を発見したとだけ届けた。

といったところでしょう。

 

飼い犬が土佐犬に咬まれたことがあります

以前、ウチの飼い犬が土佐犬に咬まれたことがあります。

中型犬の飼い犬をリードに繋いで一緒に走っていたら、路地の曲がり角で散歩中の土佐犬が出会い頭に飼い犬の顔に咬み付きました。

土佐犬の飼い主が怒声を上げ引き離そうとしますが、土佐犬は無言で咬んだまま放しません。
闘犬では声を出すと負けとなるため、試合中は声を出さないように叩き込まれているのです。

ウチの飼い犬は悲鳴を上げ続け、命の危険も感じました。

土佐犬の飼い主がライターで顔をあぶり、ようやく放しました。
その後、その飼い主は謝りもせず立ち去って行きました。

幸い、思ったより飼い犬のキズは浅く、医者に行くほどではありませんでした。

しかし、その後、同じ飼い主のものと思われる土佐犬が、近所の小型犬を咬み殺す事故を起こしました。

 

土佐闘犬は土佐犬でない

これまで「土佐犬」と書いてきましたし、報道でもそうなっていますが、実は違います。

正しくは「土佐闘犬」です。

本来の土佐犬は中型犬で、天然記念物に指定されています。
土佐闘犬との混同を避けるために「四国犬」に改称されましたが、天然記念物の指定名称は土佐犬のままです。

▼土佐犬(四国犬)
四国犬
土佐闘犬は、この土佐犬(四国犬)をベースに、マスティフ、ブルドッグ、ブル・テリア、グレート・デーン等と交配して造り出した犬種です。
その結果、元来の土佐犬とは全く異なる犬になりました。

他犬種との交配自体は、ごく普通のことで、ほとんどの犬種は計画交配によって造り出されました。

土佐闘犬は、顔がマスティフに似ているので、ジャパニーズ・マスティフとも言われます。

土佐闘犬は、その目的から当然ですが、攻撃性が強調された凶暴な性格です。

さらに知能が高くないため訓練性が低く、飼い主の制御も効かない場合があるので、ヨーロッパでは、危険犬種に指定し飼育を規制している国もあります。

日本で飼っているのは、闘犬目的か、人を威嚇するのが好きな人たちですので、シロウトではありません。

一般の愛犬家は飼うのは困難ですし、飼おうとも思わないでしょう。

日本では、飼い主の性格に由来すると思われる杜撰な飼育により、土佐闘犬の人間への咬傷事故が頻発しています。

報告されない犬や猫への咬傷事故は、さらに多いでしょう。

事故を繰り返さないためには、日本でもこの犬種の飼育規制が必要だと断言します。
 

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Comment

  1. おかしい より:

    ピットブルや土佐闘犬がなぜ飼育禁止になっていないのか、まるで理解できませんよね。飼い主には従順とか、しつけしてれば大人しいとか、そういう問題じゃなく、かなりの確立で人を襲って重症、もしくは殺害する凶暴な性格と体を持っているので、猛獣扱いでもおかしくないですよね。自分の子供が街中で放し飼いの闘犬に遭遇したらと思うとゾッとしますよね。

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