3分で分かる朝鮮戦争(2) 戦争の犠牲者数と映画を簡単解説
公開日:
海外
3分で分かる朝鮮戦争(1) 戦争の原因と経過を簡単解説の続きです。
戦争の終結と犠牲者数について簡単に解説します。
朝鮮戦争を題材にした映画も紹介。
2年以上のこう着状態の末
その後、体制を立て直した国連軍は3月に再びソウルを奪回し、38度戦まで押し戻します。
マッカーサーは、北進や中国への攻撃、原爆の使用を主張しますが、ソ連を巻き込んで第3次世界大戦に拡大するのを危惧したトルーマン大統領に解任されます。
その後、戦線は38度線沿いの山を獲ったり獲られたり、米軍が大規模爆撃したりと多数の戦死者を出しながら、2年以上も膠着状態となります。
ちなみに米軍は、太平洋戦争で日本を空襲した際の爆弾投下量の約3.7倍、60万トン以上を、朝鮮戦争で投下しています。
そして1953年、米ソの指導者が交代して状況が変わったこともあり、7月27日に休戦協定が締結され、現在まで休戦状態が続いています。
休戦ラインをDMZ(非武装地帯)と言います。
なお、李承晩(イ・スンマン)大統領が停戦に反対した韓国は、この休戦協定に調印していません。
朝鮮戦争の犠牲者数
朝鮮戦争での戦死者は統計によって大きなバラツキがあるためハッキリしていません。
韓国側は、アメリカ軍約45,000人、韓国軍約65,000人、その他の国(国連軍)約3,000人の計113,000人。
北朝鮮側は、北朝鮮軍約400,000人、中国軍約500,000人の計900,000人(統計によってはもっと多い)の戦死者という統計が有力です。
また、朝鮮半島全土が戦場になったため、多数の一般市民も犠牲になり、北朝鮮250万人、韓国側133万の計383万人という膨大な数にのぼります。
さらに、韓国では、李承晩(イ・スンマン)大統領の命令により、政治犯や共産主義が疑われた市民など、少なくとも子供を含む20万人が虐殺されました。
一説では60万人〜120万人とも言われています。
開戦前、北朝鮮は韓国で「参加すれば食べ物をもらえる集まり」のような、北朝鮮主催であることを伏せたプロパガンダを行なっていました。
開戦後、韓国当局は、それらの会合の参加者を住民同士の密告等で拘留しました。
その取り締まりには、民警のような組織も加わっており、個人的な恨みによる濡れ衣の拘留や、裁判無しでの処刑が行われました。
韓国では長い間タブーとされており、検証作業や、まとめて埋められた遺骨の発掘などが行なわれ始めたのは近年になってからです。
また、北朝鮮や中国軍も、進軍先で、略奪や虐殺あるいは徴兵を行ないました。
これらを含めた朝鮮戦争の死亡者数は、500万人以上にのぼり、太平洋戦争での日本人の死亡者数は約310万人(軍人230万人、市民80万人)を上回っています。
韓国ソウル・戦争記念館
戦争記念館は、ソウルの在韓米軍基地にある朝鮮戦争を中心とした博物館です。
今年の7月に、旭日旗を理由にワンピース展の開催をドタキャンしたことで報道されました。
結局、韓国裁判所の素早い判決により、開催が決定されましたが、そもそもマンガのイベントを開催することが意外な場所です。
入口には、「南北に離散し、戦場で再会した兄弟の像」があります。(上の写真)
建物の入口で、日本語のパンフと日本語音声ガイド機を借りられます。
日本に関しては、秀吉の文禄の役と、日韓併合の初期に起きた独立運動(三・一運動)について少し展示してあるだけですので、反日・嫌日はほとんどありません。
多くは朝鮮戦争に関する展示です。
ジオラマや人形が多用してあり、動画では日本語の説明が選べますので、音声ガイド機との併用で、とても分かりやすくなっています。
韓国に行くようになる以前は、日本が参戦していないので、知識に乏しく(教科書ではおそらく1行で終わっていると思いますし、そもそもそこに行く前に3学期が終わってしまいますから)、朝鮮動乱という言い方もしますので、国境紛争程度だと思っていました。
しかし朝鮮戦争を題材とした映画で認識の誤りに気付き、この戦争記念館で詳細が分かりました。
朝鮮戦争を描いた映画やドラマ
●戦火の中へ:開戦直後、ソウルに侵攻して来た北朝鮮軍と戦った学徒兵を描いた映画です。
●ブラザーフッド:南北に別れた兄弟が戦場で巡り会います。前述の戦争記念館の「再会する兄弟の像」そのもののような映画です。
●高地戦:こう着状態以降の境界線(最前線)での戦闘を描いた映画です。
●ロードナンバーワン:開戦前から終戦までを描いた全20話のTVドラマです。60周年記念として破格の予算で制作されました。なお、ロードナンバーワンは、開戦前に南北を縦断していた国道1号線のことです。
ちなみに韓国は徴兵制があるため、出演者やスタッフも軍隊経験者がほとんどのせいか、武器の取り扱いのシーンにリアリティがあります。
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