白鵬 やさぐれたキッカケは2013年九州場所の万歳三唱
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社会・政治
いつのまにかヒールになってしまった横綱白鵬。
そのキッカケは、よく話題になる今年初場所の大関稀勢の里戦の「物言い」ではなく、おととし2013年11月九州場所の万歳三唱でした。
そこから微妙に負のスパイラルが始まったのです。
15日間 報道陣に無言を貫く
1月の初場所で大鵬の優勝記録を抜き、今場所は34に伸ばした横綱白鵬がバッシングされています。
発端は、今年1月の初場所13日目の稀勢の里戦で「同体取り直し」になったことについて、場所後に、
「子どもが見ても(勝ったのは白鵬だと)分かるような相撲だ」
「簡単に取り直しなんかやめてくれと思う」
「肌の色は関係ない。みんな同じ人間。土俵に上がってまげを結えば日本の魂なんです」
などと、審判部を批判したこと。
この発言が問題視された白鵬は、今場所の15日間、支度部屋で報道陣に完黙を通すという異常な事態となりました。
さらに、因縁の稀勢の里戦で、「横綱なのに『変化した』」と非難されます。
場所後の昨日の会見でようやく口を開いた白鵬は、稀勢の里戦のことを聞かれ、
「あれは変化ではない」と説明し「フラッシュ(カメラのシャッター音)うるさいな。本当に」といらだちを見せ、ますますヒール感が増しました。
また「思いはたくさんありますけど、それが伝わらない」と苦しい胸の内も口にしました。
白鵬が負けたら万歳三唱
故大鵬を師と仰ぎ、朝青龍を反面教師に、真摯で誠実な言動だった白鵬が、どうしてやさぐれてしまったのか。
きっかけは、おととし2013年11月九州場所、14日目の稀勢の里戦です。
仕切り中に長時間で睨み合うなど、両者とも気合い充分。
結果は、稀勢の里が上手投げで白鵬を破ります。
土俵を降りて力水をつけようとしている稀勢の里に対し、観客の「万歳!!」が響き渡りました。同じ九州人として恥ずかしい
モンゴル人力士は、彼らに有利なルールがあって勝っているわけではありません。
もし責めるとしたら、同じルールで強くなれない、勝てない日本人力士の方でしょう。
それなのにモンゴル人力士が勝ち続けることに嫌気する。
そんなケツの穴の小ささに呆れます。
時折、韓国人の身びいきのひどさを嘲笑する声がありますが、彼らと同じレベルですよ。
観客の万歳について聞かれた白鵬は、
「今まで頑張ってきたことはいったい何だったんだろうなぁ」と語りました。
努力を積み重ねて真摯に横綱の地位を守ってきたのに
CMでの「力士には向いていない。誰もがそう思った」頃から、私には想像すら出来ない努力を積み重ねて体を作り、力を付け、技を磨いて出世しました。
朝青龍引退後は、長年1人で真摯に横綱の地位を守り、勝ち続けてきました。
東日本大震災では、カップラーメン1万食やローソク100万本、そして土俵も贈呈するなど多大な支援をしました。
なのに、日本人力士に負けると「万歳!」が連呼される。
悔しかったし、むなしかったのではないでしょうか。
そしてまた稀勢の里戦で日本人びいき?
1月初場所の稀勢の里戦取り直しは、その延長線上にあります。
白鵬は間違いなく稀勢の里に勝ったという手応えがあったのに、「また日本人びいきか」という思いにかられたのでしょう。
それが場所後の審判部批判につながったのだと思います。
また、賞金の受け取る態度が悪いと言われたり、寄り切った相手の背中を土俵下でだめ押ししたと注意を受けたことなども、不満が溜まっていたのでしょう。
さらに、相撲部屋を開くのに必要な年寄名跡の襲名には「日本国籍」が必要で、日本に帰化していない白鵬にはその権利がありません。
「努力を重ねて前人未到の実績を残したのに」という不満があっても不思議ではありません。
モンゴルでのスピーチが曲げて報道される
白鵬は、モンゴルで日本の国民栄誉賞にあたる「労働英雄賞」を受賞しました。
モンゴル初の親子2代での受賞です。
2月27日の授与式で、白鵬は次のようにスピーチしました。
「父はいつも、『私は20世紀にモンゴル相撲の横綱になり、息子は21世紀に大相撲の横綱になった』と言っていました。
2世紀に渡り親子横綱となり、モンゴルだけではなく、世界に2つとない親子英雄、労働英雄となったことを大変うれしく思います。」
「私は大変恵まれている人間です。
この祖国で生まれ、日本で育ち、大相撲のおかげで大きく成長して現在の地位に就きました。
これからは2国間の架け橋として力を尽くします。」
それが、日本では「父は20世紀の大横綱、私は21世紀の大横綱になった」とスピーチしたと報道されました。
実際のスピーチとはニュアンスが全く異なり、傲慢に感じます。
その不信感も、報道陣にたいする完黙につながったのではないでしょうか。
観客のブーイングは稀勢の里に対して?
スポーツ紙では、今場所の6.5秒で終わった稀勢の里戦について、観客は「変化した白鵬」へブーイングやヤジを浴びせたと伝えています。
そもそも横綱はなぜ変わっていけないのでしょうか。
ルールに書いてあるわけではないのに「いつのまにか」そんな空気になっていたというのが実情です。
そして稀勢の里戦については、評論家や報道関係者の中には、あれは変わったのではなく、ブーイングもコロリとやられた稀勢の里に対するものだと感じた人も多いようです。
白鵬という稀代の大横綱が、このままヒールとして定着しまうとしたら残念で仕方がありません。
本人も、周囲も、マスコミも、皆がボタンの掛け違いを改めて欲しいと願います。
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