妻を乳がんで亡くして【緩和ケア・ホスピスとは】
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生活・文化
この記事は、以下の記事の続きです
妻を乳がんで亡くして【乳がんの発症〜乳房・リンパ節切除編】
妻を乳がんで亡くして【手術後の抗ガン剤治療・放射線治療編】
妻を乳がんで亡くして【乳がんの転移再発・余命宣告編】
妻を乳がんで亡くして【肝臓や脳への転移・症状編】
前記事の、主治医との面談の続きです。
妻は、延命治療を拒み、ホスピスへの入院を希望しました。
ホスピスでは抗がん剤は使えない
妻は、ガンが進行しても延命治療は行わず、最後はホスピスへの入院を望んでいましたので、それについてドクターに尋ねました。
・ホスピスは緩和ケア(痛みや吐き気等のつらい症状の緩和)だけを行う医療機関なので、医療制度上、値段の高い薬である抗がん剤は使えない。
・したがって、抗がん治療(ホルモン療法)を行っている現状では入院することはできない。
・ホルモン療法は効果が出るのに1〜2ヶ月かかるので、途中でやめるのはもったいない。
・しかし劇的な効果が期待できるわけではなく、残り少ない肝機能にダメージを与えてしまう面もある。
・その残り少ない肝機能は、日々を過ごしやすくするために使った方がいい、という考え方もある。
・そのため「もう治療はしなくていいかな」というお気持ちであれば、ホスピスに入院できる。
余命が半年から2〜3ヶ月に
妻は「もう治る気がしなくなった」「なんとかしなくてはという気力が無くなった」「もうそろそろ抗がん治療を止め、ホスピスに入ろうかなと思います」と話しました。
「実際にホスピスに行って、施設を見てみたい」とも話しましたので、ドクターは「明日にでも紹介状を準備しましょうか」と提案しましたが、妻は、11日後の本来の予約日(ホルモン療法治療日)に受け取りますと答えました。
そして私は、妻と息子を先に診察室から出し、ドクターに余命について尋ねました。
・内臓の状態を考えると、現在の体調は「よくこんな元気にしてらっしゃるな」と驚いている。
・しかし、いまの体調を長く維持するのは難しいと思う。
・これまではガンの進行を抑える治療をしてきたが、そろそろ、痛みなどの対処療法に移ったほうがいいかもしれない。
・余命は「2〜3ヶ月でもおかしくない」ほど悪化している。
妻が先月に受けた余命半年の宣告が、一気に半分以下の日数に減ってしまいました。
ドクターと面談した翌日、その公立病院のソーシャルワーカーの方から、
「(10日後の)治療日にドクターの紹介状を受け取るとのことだが、ホスピスの入院申し込みには家族を含めた面接が必要なので、その日に、ホスピスについての説明と面接申し込みの打ち合わせをしたい」と電話がありました。
ガンの残酷さ
ガンは残酷な病気です。
他の病気であれば、この治療をすれば「治る」または「治るかもしれない」という希望を持てるでしょう。
しかしガン(末期がんや転移がん)は、「治りません」「あなたは死にます」と宣告されます。
そして、日に日にカラダは衰弱し、苦痛も増していきます。
来年の今頃は確実にこの世にいない。
桜は見たのは今年が最後になりそう。
年を越せないかもしれない。
スターウォーズ エピソード7は見ることができないかもしれない。。。
そんな絶望感が襲ってくるでしょう。
自分がそうなったら、どんな精神状態になるのか想像もつきません。
しかし妻は、家族に打ち明けた後も、それまでと変わった様子は感じませんでした。
テレビを見ては、いつものように笑い、クイズ番組では、元気よく答えを言ってました。
私も家族も、そんな妻にどう接していいか戸惑いながら、結局、日常通りに接しました。
妻と話し合う最後のチャンスだったが
妻は、ドクターとの面談の翌日には、パートに出勤しました。
週に3日ほどですが、15年ほど務め、楽しんで仕事をしていた勤務先です。
私は「無茶だ」と反対しましたが、引き継ぎをきちんとしたかったようです。
しかし、仕事を完全に辞めたことでハリがなくなったのか、気が張っていたのが切れたのか、それから急速に容体が悪化。
当初は、「断捨離をするのでゴミ袋持ってきて」「実家に置いている物を取りに行きたいので来週連れてって」など、身辺整理をするつもりのようでしたが、何も手をつけないまま、1週間後には、ほとんど寝たきりになりました。
階段の上り下りも難しくなり、意識の混乱があるのか、会話もやや噛み合わなくなってきました。
結果的に、ドクターと面談した後の4〜5日までが、これまでのこと、そしてこれからのことをきちんと話す最後のチャンスでした。
余命宣告を受けたら、早めに家族と話し合いを
私はその最期のチャンスを逃してしまいましたが、不幸にして余命宣告を受けてしまった方には、現実に向き合い、先延ばしせず、できるだけ早い時期に、必要なことをきちんと話し合うよう強くお勧めします。
前回の記事で触れた「脳に転移し人格が変わってしまった」場合や、後日書く予定ですが「高カルシウム血症などで意識が混濁した」場合など、本人が意思表示できなくなった際の治療方針についても話し合ってください。
そして「耐え難い痛みから解放するために薬で眠らせたまま最期の迎える終末期鎮静」についても、あらかじめ希望を伝えておくことも重要なことです。
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