PM2.5飛来分布予測 そもそも予測データの取得方法は?
公開日:
経済・科学
中国から日本へ大量に飛来する迷惑物質PM2.5。
観測機関によって飛来分布予測が大きく異なります。
その理由は?
機関によって、PM2.5の飛来予測が異なる?!
ここ数日は、日本への飛来が少しおさまっているPM2.5。
しかしこの冬は濃度の高い日が多く、眼で見ても遠くがかすんでいて、アレルギー持ちの私は、洗濯物や外出に気を使いました。
ほんとに迷惑ですよね〜。
1月末頃「西日本に警報レベルの濃度で大量飛来する」と、新聞やテレビで大きく報道していましたが、
同じ時期、私がスマホでいつもチェックしている日本気象協会が公開しているサイトでは「少し多い程度」の予測でした。
「あれ?機関によって予測が異なるの?」
当たり前と言えば当たり前ですが、機関によって数値が異なることに気付きました。
それにしても、全く違うと言っていい程の差異です。
結果は、テレビや新聞が騒いだ程は飛来せず、日本気象協会の予測通りで「少し多い程度」でした。
その新聞やテレビのニュースソースは、九州大学/国立環境研究所です。
冒頭の写真は、日本気象協会のこの原稿を書いた時点から数時間後の「2月12日18時」予測分布ですが、下は、その九州大学/国立環境研究所が公開している同じ日時の予測。
日本に飛来しませんし、スケールが違うので分かりにくいですが、
上の日本気象協会は、北京を中心に、東は大連、ソウル付近まで濃度が高いのに対し、
九州大学/国立環境研究所は、内陸のモンゴル付近を中心に少し発生していますが、北京から東はきれいな状態です。
下は、同じく約40時間後の「2月14日9時」の予測です。
日本気象協会は、北京を中心とした広い範囲と、ソウル付近が「極めて多い」で、日本海と本州の一部も少し濃度が上がっています。
対して九州大学/国立環境研究所は、大連付近まで少し発生していますが、朝鮮半島から東はきれいな状態です。
そもそもどうやって,PM2.5のデータを取得?
上記の比較は、どちらにしても日本への飛来は無いと言っていいので、1月末の差異のような影響はありませんが、なぜ予測に大きな差が生じるのでしょうか?
そもそもどうやって予測しているのでしょうか?
雲であれば、気象衛星からの画像で動きを解析できるでしょうが、
PM2.5が写るとは思えませんし、それこそ雲がある日は上空からの観測はできないはずです。
中国や北朝鮮はもちろんのこと、韓国も観測データを提供するとは思えません。
↓それぞれのサイトの測定方法の説明文です
日本気象協会では、日本気象協会の独自気象予測モデル SYNFOSと米国環境保護庁(EPA)が中心となり開発を進めている化学輸送モデルCMAQ(※1)を組み合わせ、東アジアのPM2.5の傾向を予測するシステムを構築しました。
このシステムに、日本を含む東アジアの大気汚染物質排出量の推計データ(※2)を入力してPM2.5がどのように推移するかを解析し、当日から3日先までのPM2.5の傾向を予測しています。
※1 CMAQ(Community Multiscale Air Quality Model)は、国内外の大気汚染研究に広く使われているモデルです。
※2 排出量推計データは、国内外の研究機関が一般に公開するデータ(INTEX-b/GEIA/REAS)を利用しています。
このページでは、 九州大学応用力学研究所(RIAM)の鵜野伊津志教授らが開発した化学天気予報システム(CFORS)によって予測されたアジア域における黄砂や大気汚染物質の推定分布を表示しています。
CFORSは 気象庁から提供される大気の温度や風などの予測情報、 人工衛星などから推定された地表面の状態、 統計調査などにより求められた汚染排出源分布に関する情報などを利用して、大気中のエアロゾル(黄砂や大気汚染粒子)あるいは微量気体(炭化水素など)の3次元分布を計算機によって数値的に予報します。CFORSは2001年まで九州大学で研究プロジェクトとして運用された後、2002年に 地球環境研究センター(CGER)のサポートにより 国立環境研究所(NIES)に移設され、現在まで定常運用されています。
ん〜? やっぱり分からない(^_^;)
ざっくり言うと、
どちらも「独自の予報システム」であること。
日本気象協会は「国内外の研究機関が一般に公開するデータ」も利用しており、その国内外の研究機関であるGEIAやREASには、中国のメンバーもいますので、中国の観測データも活用しているようです。
九州大学/国立環境研究所は、気象衛星やその他の観測衛星等、上空からのデータを活用しているようです。
これだと、予測結果が異なるのは当然でしょうね。
個人的には、中国現地のデータも活かしている(と思われる)日本気象協会の方が、精度が高いような気がしますが、今後は予測を比較しながら、両者の精度を調べてみようと思います。
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