30日打ち上げ「はやぶさ2」 6年52億kmのミッション
公開日:
経済・科学
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※11月28日追記
打ち上げが12月1日以降に延期されました。
打ち上げ時間帯に「氷結層」のある雲が発生する予報のためです。
予定の軌道に乗るためには、12月9日までに打ち上げる必要がありますが、次の予定日は29日に発表されます。
※11月29日追記
12月1日13時22分43秒に打ち上げ予定です。
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11月30日、小惑星探査機「はやぶさ2」が打ち上げられます。
今度のミッションは、小惑星から有機物と水を採取し、生命の起源を探るというもの。
約52億kmを旅し、6年後、東京オリンピックの年に地球に帰ってきます。
伝説的な偉業を達成した初代「はやぶさ」
初代「はやぶさ」は、2003年5月9日に打ち上げられました。
約2年半後の2005年11月27日、約3億km離れた小惑星イトカワの砂の採取に成功。
しかし、その後、エンジントラブルや燃料漏れ、行方不明などの数々のトラブルに見舞われながら、スタッフの英知と、まるで「はやぶさ」自身に意志があったかのような奇跡により、2010年6月13日に、地球に帰還しました。
その経緯は日本人の心を打ち、映画3本が製作されました。
私は3本とも見ましたが、当然ながら「大筋」は同じなので、どれがどうだったかよく覚えていませんw
世界初の「サンプルリターン」に成功した功績は、NASAのスタッフに「ジェラシーを覚える」と称賛されました。
なお、はやぶさのネーミングは、サンプルリターンの動きを、鳥類最速の時速300kmで急降下して獲物を捕らえる隼のイメージに重ねたものです。
「はやぶさ2」発射のライブ中継とパブリックビューイング
「はやぶさ2」は、11月30日13時24分48秒に、種子島宇宙センターからH2Aロケットで打ち上げられます。
その模様は、youtubeやニコ生、ustreamなどでライブ中継されます。
放送予定:11月30日(日)12:30~13:45頃
また、全国約90ヶ所で、パブリックビューイングも開催されます。
パブリックビューイング会場一覧
このタイミングを逃すと次の機会は2020年
「はやぶさ2」が目指すのは、直径約900m小惑星1999JU3(イトカワは約535m)。
太陽系ができた約46億年前から、太陽の周りを1年3ヶ月で周回しています。
地球とは軌道がずれていますから、地球に接近する時もあり、火星の近くまで離れることもあります。
地球から距離は、最遠時で約3億km。
打ち上げられた「はやぶさ2」は地球の軌道に乗りますが、約1年後の2015年12月、地球と1999JU3の周回軌道が交差するタイミングで、地球の引力を利用(スイングバイ)して加速し、1999JU3の軌道に乗り換えます。
12月9日までに打ち上げないと、このタイミングに間に合わず、また1日に1回しか打ち上げのタイミングはありません。
今回を逃すと、次の機会は、何と2020年になってしまいます。
1999JU3の軌道に乗った「はやぶさ2」は、3年近くかけて1999JU3に追いつき、2018年7月に到着予定です。
はやぶさ2の軌道CG(音声無し)↓
6年掛けて52億kmを旅する「はやぶさ2」
1999JU3上空に到着した「はやぶさ2」は、着陸機とローバを切り離して着陸させるなどし、約1年半の長期に渡って小惑星表面を詳細に観察します。
さらに、サンプルリターンも行ないます。
初代「はやぶさ」はイトカワの砂だけの採取でしたが、今回は炭素を含んだ化合物(アミノ酸などの有機物)の採取が期待されています。
もし、そのアミノ酸が地球のものと構成が同じであれば、地球の生命は宇宙からやって来たのではないかという生命の起源を解明できるかもしれません。
また、46億年前の組成が残っていて、太陽系の起源と進化を探ることができるかもしれません。
なお、現在約66万個の小惑星が確認されていますが、その内、軌道が解明されているのは約22万個で、現在の技術で往復可能なのは30個だそうです。
その30個の内、炭素が存在する可能性があるのは、この1999JU3だけだと言われています。
ちなみに、小惑星1999JU3の名称は、今後の公募により、変更される予定です。
はやぶさ2ミッション紹介CG(音声無し)↓
有機物や水の採取に挑むサンプルリターン
初代「はやぶさ」は、イトカワに着陸した際にボールを発射し、舞い上がった砂を採取する方法でしたが、うまく発射できませんでした。
しかし、着陸時にわずかに舞い上がった砂がカプセルに入っており、世界初のサンプルリターンに成功しました。
「はやぶさ2」は、その初代と比べてかなりハデな方法が考案されました。
太陽光等で風化している表面の砂や石を取り除くために、まず、Small Carry-on Impactorと呼ばれる衝突装置が、「はやぶさ2」から切り離されて地表に近づいて爆発し、銅板を発射。
銅板は、秒速2km(時速7200km)で、弓状に変形しながら地表に衝突し、クレーターを作ります。
その間「はやぶさ2」は、爆発の衝撃に影響を受けないよう小惑星の陰に退避しています。
その後、「はやぶさ2」は形成したクレーターにタッチダウンし、石や砂を採取。
クレーター以外の箇所を含め、計3回のタッチダウンを行ない、0.1g程度の採取が目標です。
その際、地球からの距離が遠いので、司令室からコマンドを送っても「はやぶさ2」に届くのに約40分掛かってしまい、タッチダウンをリアルタイムで制御することができません。
そこで、「はやぶさ2」は、小惑星の100m以内に接近すると、後は、自動・自律制御で着陸と離陸を行なう設計されています。
はやぶさ2衝突装置 爆発実験↓
はやぶさ2タッチダウン想像図CG(音声無し)↓
東京オリンピックの年に帰還予定。そして別のミッションが
「はやぶさ2」は、2019年11月〜12月に小惑星から離れ、東京オリンピックの年の2020年の末に地球上空に帰ってきます。
その総移動距離は、約52億km!
そして、大気圏近くでサンプルが入ったカプセルを放出して地上に帰還させますが、「はやぶさ2」にはそのまま宇宙に留まり、別のミッションが与えられる予定です。
スケールがデカ過ぎて、どうやったら立案、計画、設計、製造できるのか想像がつきませんが、成功を楽しみにしています。
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