トヨタ・マツダ業務提携記者会見 具体的プランは発表されず
公開日:
経済・科学
13日、トヨタとマツダが業務提携に関する共同記者発表会を行ないましたが、具体的な製品や時期については語られませんでした。
具体的な提携内容は語られず
9日に日経新聞が「トヨタ・マツダ包括提携」を報じましたが、13日19時から、両社の社長が並んで緊急記者会見を行ないました。
トヨタの豊田章男社長とマツダの小飼雅道社長が交互に話し、お互いを持ち上げる掛け合いの進行には少々失笑w
そして、その後の約30分間の質疑でも、具体的な提携内容については語られず、どのようなアウトプットがされるのか、全く分かりませんでした。
質疑では、
「お互いの技術を活用しようというものなのか、それとも一緒に新しい技術を開発しようというものなのか?」
「最初の製品の時期は?」
「燃料電池は含まれるのか?」
などの質問がありましたが、
豊田社長は「もっといいクルマ」「どうしても欲しくなるクルマ」を作るためという表現を繰り返し、中長期的な協力関係を目指していることを示唆しました。
トヨタが欲しいスカイアクティブ
豊田社長に対し「提携の目的はガソリンやディーゼルエンジン開発の時間を短縮したいということなのか?」といった質問がされていましたが、トヨタの最大の目当ては、言うまでもなくクリーンディーゼルでしょう。
ハイブリッドが高いシェアを占める日本は、世界的に見れば異様なマーケットです。
ヨーロッパでは小型車を含めディーゼルが主流で、トヨタは現在BMWとディーゼルエンジン調達で協力関係にあります。
また、ハイブリットは日本と違い「エクストラパワー」としての位置付けが主流です。
アメリカや他の国々でも、一部のエコ意識の高い層以外、ハイブリッドがコスパがいいとは考えていないようです。
豊田社長はマツダのクルマ造りに惚れ込んでいる?
ただ、豊田社長は、2014年の東京モーターフェスの各社の社長が自ら運転して登場するイベントでも、レーシングスーツを着て86でスピンターンを繰り返すようなクルマ好きです。
広島のマツダを訪問した際も、本社の応接室ではなく、テストコースに案内して「お好きなクルマにどうぞ」というツボを押さえた歓待だったことが紹介されました。
豊田社長がマツダの「人馬一体」「Be a driver.自分たちが走らせて退屈だと思うクルマは、絶対につくらないと決めている」というクルマ造りのコンセプトを称賛しているのは、社交辞令ではなく本心のように思えます。
その思想を、とかく「80点主義」と言われる自社のエンジニアにも取り込みたいのだと思います。
なお、豊田社長は「カーオブザイヤー」について、「当社はあまり縁がない」と表現し、対してマツダは「私の在任中だけでも2度も取っている」と話し、うらやましがってましたw
ちなみに、前述の2014年の東京モーターフェスでは、各社の社長が当然ながら最新型で登場する中、マツダの小飼社長は25年前の初代ロードスターで登場して「このクルマで、我々は世界中のユーザーに育ててもらった」とコメントし話題になりました。
小飼社長は4:50頃、豊田社長は5:43頃
マツダが欲しいミライ技術
マツダは、2000年頃は水素を燃料とするロータリーエンジンを研究開発し、2013年には小型のロータリーエンジンを発電用として搭載したデミオEV試作車を発表しました。
しかし、マツダ自らが認めているように、潤沢ではない経営資源を内燃機関や駆動系の効率化及びデザインに集中した結果、スカイアクティブ、特にクリーンディーゼルが評価され、セールスも順調です。
その分、ハイブリッドやバッテリー技術、そして燃料電池車の開発は遅れている、というより、されていないと言った方がいいでしょう。
トヨタは燃料電池の主要特許を公開していますから、それよりさらに踏み込んだ技術がマツダに提供されることが期待されます。
また小飼社長は「トヨタの厳しい判断基準をクリアするために最高の人材を投入しなければならない」とも語りましたので、メキシコ工場でトヨタ車の生産を請け負うことにより、トヨタの高度な生産管理や生産技術を習得したいと考えているのだと思います。
なお、MIRAIの納期は「2018年以降となる見通し」となっています。え?今年は何年だっけ?w
ですので、マツダに提供されたとしても、発売はもっとずっと先となるでしょう。
トヨタは『大きなサイフ』ではなく
豊田社長は、1990年にマツダの防府工場見学が技術交流の発端だったというエピソードを紹介していました。
ちなみに、豊田社長は「ボウフ」と言ってましたが「ホウフ」ですよw
また豊田社長は、「トヨタというとすぐに『お金』と見られるが、『もっといいクルマ』を作る会社に『ReBORN』したいと頑張っている」
「マツダさんからは『大きなサイフ』ではなく、『もっといいクルマをつくるためのパートナー』と思っていただけるようにしたい」と、現時点での資本提携の可能性を否定しました。
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