妻を乳がんで亡くして【手術後の抗ガン剤治療・放射線治療編】
公開日:
生活・文化
妻を乳がんで亡くして【乳がんの発症〜乳房・リンパ節切除編】の続きです。
乳がん治療は、乳房やリンパ節切除で終わりではありません。
抗がん剤と放射線という辛い治療が待っています。
※上の写真は医療用帽子「タンドレ」のHPより
乳がんは既に全身に転移している
乳ガンは「全身病」です。
乳ガンはリンパ節に近いため、発見された時には、既にほとんどの場合、目に見えない小さながん細胞が全身に転移しています(微小転移)
乳房がガンに侵され、また切除したとしても、命を落とすことはありませんが、他の臓器に転移してしまうと命に関わります。
その微小なガンを叩き潰すために、切除手術した場合も、その後に抗がん剤治療を行い根治を目指します。
抗がん剤の副作用で全身の毛が抜ける
抗がん剤の副作用で有名なのは、北斗晶さんもブログで公表している抜け毛です。
↓北斗晶さんの公式ブログ「そこのけそこのけ鬼嫁が通る」2015.12.4より
抗がん剤は、ガンのように細胞分裂が活発な細胞に強く作用する薬です。
しかし、がん細胞にだけ選択的に作用するわけではなく、全身に影響があり、特に細胞分裂が活発な他の正常な細胞も傷つけてしまいます。
そのため、がん細胞や白血球と共に、分裂が活発な細胞のひとつである髪の毛は影響を受けやすいというのが、抜け毛の原因です。
もちろん頭髪だけではなく、全身の体毛も抜けてしまいます。
上の北斗晶さんの写真でも、眉を描いているのが分かります。
妻は、鼻毛がないとホコリを防げないので辛いと言っていました。
意外なところにも、支障が生じるものです。
妻は自宅では医療用の帽子、外出の際にはウィッグをつけていましたが、いたみやすいので、何個も持っていました。
乳房を無くした上に抜け毛という過酷さ
抜け毛は、特に女性にとってはショックが大きいことだと思います。
むしろ、きれいさっぱり抜け落ちてスキンヘッドになってしまえばスッキリする面もありますが、辛いのは毎日抜け落ち、髪の毛がまだらの状態です。
乳房を無くした上に、髪の毛がまだらにしか残っていない状態というのは、本人の衝撃は大きいと思います。
率直なところ、周囲もどう接していいか戸惑います。
まだらに抜ける前に、北斗晶さんのように丸坊主に刈ってしまう方が、精神的ダメージは少ないかもしれません。
↓北斗晶さんの公式ブログ「そこのけそこのけ鬼嫁が通る」2015.11.19より
なお、抗がん剤治療が終わると、1〜2ヶ月で生えてきます。
ただ妻の場合、治療前よりは、細くて薄毛になったような気がしました。
また、ウイッグと帽子で蒸れてしまうせいだと思いますが、頭皮の皮膚炎にずっと悩まされていました。
抗がん剤のさまざまな副作用
抜け毛だけがクローズアップされますが、抗がん剤治療には、他にも下図のようなさまざまな苦しい副作用があります。
抗がん剤治療は通院が主流だということを最近になって知りましたが、妻は、4〜5日の入院治療をその年の12月頃まで繰り返していました。
がん細胞にだけ作用する抗がん剤「ナノマシン」
抜け毛を起こさない(副作用の少ない)抗がん剤もあるらしいですが、本来の目的であるがん細胞に対する治療効果も低いようです。
髪の毛(副作用)と抗がん(命)と、どちらが優先かは言うまでもありません。
ただし、最新の抗がん剤では、がん細胞だけ選択的に取り込まれる「ナノマシン」という研究も進んでいます。
これは、抗がん剤を直径25ナノメートル(25万分の1mm)というウィルスサイズの小さなカプセルで包んだものです。
がん細胞は、多くの栄養を必要とするため、自ら血管を作り出します。
しかし、作りが雑のため、通常の血管より大きな穴が空いており、ナノマシンは、その穴を通り抜ける大きさで作られています。
ナノマシンで包まれた抗がん剤は、通常の血管の穴は小さ過ぎて通らず、がん細胞の血管にやってくると、穴を通り抜け、がん細胞の内部に入り込みます。
がん細胞の中心部は酸性で、そこまで侵入したナノマシンはカプセルが溶け、抗がん剤がガン細胞内部に放出されるのです。
もちろん、まったく副作用がないというわけではありませんが、かなり軽い副作用になるようです。
このナノマシンは、既に乳がんや肺がんなど一部のガンで臨床試験が最終段階まで進んでおり、順調にいけば、1年以内に実用化されそうです。
さらに、乳がんで起きる「微小転移」によるがん細胞にも作用しますので、手術をしない抗がん剤治療だけではなく、今回のような術後の抗がん剤治療での再発防止効果も高くなることが期待されています。
抗がん剤治療の後は放射線治療
抗がん剤治療で終わりではありません。
次は、切除した乳房付近に残っているかもしれないがん細胞を死滅させるために、放射線治療を行いました。
放射線治療は抗がん剤のように全身に作用するわけではなく、照射した部分にだけ作用する局所療法です。
ただ、がん細胞だけではなく皮膚にも照射されますので、その部分が皮膚炎などを起こす副作用があります。
術後は抗がん剤治療だけで済むケースもあるようですが、妻はリンパ節転移があったので、放射線治療も行ったのだと思います。
記録を見ると、切除手術の翌年の2013年2月〜3月に、24日も放射線治療を行っていました。
スポンサードリンク
スポンサードリンク
関連記事
-
ダブル台風が発生 21日頃から日本に接近し上陸の可能性も
15日、15号と16号の2個の台風がほぼ同時に発生。 どちらも大型で強い勢力の台風に発達し、1
-
今後普及のラウンドアバウト 新方式の円形交差点の走り方
9月1日、信号が無い円形交差点「ラウンドアバウト」の運用が始まりました。 ヨー
-
スモワが無くなってアナ雪?ファンタジーランド再開発を発表
東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランドが、2016中期経営計画を発表し
-
くまモンが『るろうに剣心』のポスターに?!
エイプリルフールの企画で『るろうに剣心 京都大火編』のポスターにくまモンが登場。 見事なク
-
使ったバスタオルは雑菌が大増殖!便座で拭くようなもの
皆さんは、一度使ったバスタオルをどうしてます? 当然、洗濯カゴ行きですよね? 世
Comment
はじめまして。
色々と奥様の事でおつらい経験をなさったことをこちらのブログで拝見いたしました。お気持ちお察しいたします。
実は私も乳がん経験者です。発症は2009年だったと思います。2年前までは担当の医師がいて、最後の5年は年に一度の検診に通っていました。マンモと血液とレントゲン検査をしていました。その後は別のクリニックを紹介してもらい検査を受けないといけないのですが、すっかり治った気になっておりまして。。。いけませんね(T_T)
放射線治療の内容を読んだのですが、抗がん剤だけの方もいらっしゃるとの記載があります。私の知る限りでは、部分切除した方は全て放射線治療を受けると聞いています。おっしゃるとおり、乳房付近の微細ながん細胞を死滅させるためです。私は腋窩リンパ節に転移は無く、部分切除でしたので、約一か月間毎日放射線治療に通っていました。
友人にも乳がん患者がいます。彼女は片方を全摘出しました。抗がん剤治療も、放射線治療も無く、術後はホルモン療法(錠剤と注射)のみです。あと乳房の再建をしました。
もしかして、病院によっては治療方針が違うのかもしれませんが、ご参考までに意見させていただきました。
最近は調子が良かったのですが、肩こりなのか転移なのか気になるので近々病院に行く予定にしております。
まだ最後まで読んでおりませんので、ブログの続きを読ませていただきたいと思います。