妻を乳がんで亡くして【容態が悪化し緊急入院】
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生活・文化
家族でドクターから説明を聞いた後、妻の容体は急速に悪化していきました。
この記事は、以下の記事の続きです
妻を乳がんで亡くして【乳がんの発症〜乳房・リンパ節切除編】
妻を乳がんで亡くして【手術後の抗ガン剤治療・放射線治療編】
妻を乳がんで亡くして【乳がんの転移再発・余命宣告編】
妻を乳がんで亡くして【肝臓や脳への転移・症状編】
妻を乳がんで亡くして【緩和ケア・ホスピスとは】
妻の容体が急速に悪化
妻は、1日中横になったままで、食事もほとんど摂らなくなりました。
何か食べたいものはないかと声をかけると、かろうじて、アイスクリームやパワーゼリー、杏仁豆腐などを少しだけ口にしました。
氷砂糖は、もう食べなくなっていました。
自宅で最後に食べたのは、たらみのミックスヨーグルトゼリーです。
横になったままの妻に食べさせてあげると「冷たくて美味しい」と言ったのが、今も耳に残っています。
余命宣告は余命を短くする？
容体が急速に悪くなった原因は、前記事で書いた「楽しんでいた仕事を完全に辞めたこと」で張っていた気が切れたこともあるでしょう。
それと、「余命告知」を受けたことも無関係ではないと思います。
私も、助からないのであれば、そのことを告知され、残された時間で人生を清算したいという考えでした。
しかし「治せない」と告知されると、「なんとかこの病気を治そう」という意欲が無くなってしまう面もあると思います。
病気と戦おうという意欲が萎えてしまえば、カラダの抵抗力も下がってしまいます。
妻は、余命宣告を受けてその意欲が萎えてしまった後も、仕事でかろうじて張っていた気が、辞めたことで切れてしまい、心が折れてしまったのではないでしょうか。
患者の性格や精神力にもよるでしょうが、私は「余命告知」はその「余命」を短くしてしまうのではないか、と考えを変えました。
病院に行く意欲も無くしてしまった妻
ドクターとの面談後、2回ほど、シャンプーをしてあげました。
その後、妻は自力でシャワーをしましたが、それだけで疲れ切って2階の寝室に上がれず、1階のリビングでしばらく休んでいました。
面談から10日後、治療の予約日の前日にも、シャンプーをしておきたいだろうと声をかけ、息子と二人で肩を支えながら1階に降り、シャンプーを済ませました。
しかし、相当にきつかったのでしょう。
「シャワーはいい」と言い、私が洗面台を片付けている隙に一人で2階に上がろうとして、階段の1段目を踏み外し、床に転んでしましました。
幸い怪我はありませんでしたが、このことで病院に行く意欲が完全に無くなってしまったのか、苦しそうな声で「明日はもう行かない」とつぶやきました。
あの病院に行くと思ったら憂鬱になる
翌日、病院に行こうと声をかけましたが、首を横に振り「あの病院に行くと思ったら憂鬱になる」と、気持ちを吐露しました。
乳房やリンパ節を切除し、抗がん剤治療や放射線治療にも耐えた。
しかし再発し「治らない」と宣告された。
その病院に行きたくないというのは、当然かもしれません。
私は妻を連れて行くのを諦め、息子と一緒に、ソーシャルワーカーとホスピスの相談をするために、病院に向かいました。
ホスピスへはすぐには入院できない
私と息子は、すぐにでもホスピスに入院させたいと考えていました。
しかし、ソーシャルワーカーに妻の状態を話したところ、
・ホスピスは、面接日の予約〜面接〜ホスピス内での判定会議を経て、予約患者の中での入院優先順位が決まる。
・さらに、病室は常に満床で、いつ部屋が空くかは確約できない。
・これまでの例だと、どんなに早くても2週間程度待つことになる。
とのことでした。
ソーシャルワーカーは、自宅療養は無理な状態だと思うので、この病院に今日にでも緊急入院した方がいいと、強く勧めました。
私は、妻の容体の急速な悪化に戸惑いながらも、次の治療日が決まっていたので、その日まで待つことしか頭に無く、入院させるべき容態であることには気付きませんでした。
状況に正しく対応できていなかったことを悔やみました。
妻がもう自宅に帰ることは無いという現実
私と息子は自宅に戻り、この病院を嫌がっている妻に「明日からの土日、自宅で容体が悪くなると病院が対応できないから2日間だけ」と嘘をついて、入院させました。
妻も、それが嘘であることは知っていたとは思いますが、心が痛みました。
おそらく、もう自宅に帰ることは無いのですから。
息子と二人で妻のカラダを支えながら玄関を出ようとした時、可愛がっていた犬が走り寄ってきました。
私は、妻と犬の双方にあやうく「ほら、さよならを言いな」と言いかけ、その言葉を飲み込みました。
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