レジオネラ菌を知ったら 温泉に行くのが気持ち悪くなる?
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経済・科学
またスーパー銭湯でレジオネラ菌感染による死亡事件
埼玉県のスーパー銭湯でレジオネラ菌に感染した男性客が死亡する事件がありましたね。
この事件を受けて、どの入浴施設でも安全点検をしたであろう今が最も衛生的なはずだと考え、チムジルバンを併設する温泉センターに行ってきました。
やっぱ、チムジルバンは気持ちいいわぁ。
でも、帰ってからレジオネラ菌を調べてみたら 順序が逆ですが
ちょっと清掃したくらいでは全く取り除けない、やっかいなシロモノでした。
あ、なんか具合が悪くなってきたよーな気がする^_^;
レジオネラ菌はどこにいる?
レジオネラ菌は、土や河川などに常在する細菌ですので、入浴施設特有というわけではありません。
生活設備では、循環式浴槽やプール,ビル空調の冷却塔水,給湯器,噴水等の配管内で繁殖します。
水温39度前後で増殖しやすいので、入浴施設は彼らにとって最適の環境です。
しかし、その水(お湯)が口に入っても感染はしません。
シャワーや湯気などのミスト状やエアロゾルとなったものを吸い込み、肺に入ると感染します。
したがって、きちんと清掃されていないビル空調の冷却塔水も、レジオネラ菌ミストを撒き散らしていると言えます。
レジオネラ菌に感染すると?
潜伏期間は2〜10日で、全身性倦怠感,頭痛,食欲不振,筋肉痛などの風邪のような症状に始まり、高熱、悪寒、胸痛そして昏睡,幻覚などの中枢神経系の症状が早期に出現します。
死亡率は30%とも言われており、抵抗力が低い老人と子供は重篤になる場合が多いようです。
患者からレジオネラ菌が検出され入浴施設に行ったことが分かると、その施設へ調査が入り、そこで検出されたレジオネラ菌とDNAが一致すれば感染源が特定されます。
レジオネラ感染のメカニズム(英語)
入浴施設でのレジオネラ感染増殖
・前述のように、レジオネラ菌は39℃前後で急激に増殖します。
・入浴した人間は汗をかきますが、汗にはアンモニア(NH3)が含まれており、その窒素(N)は、レジオネラ菌などのバクテリアのエサとなります
・循環式入力施設の場合、濾過器や配管内にバクテリアが付着しますが、まだこの状態であれば、適切に殺菌すれば除去できます
・殺菌せずに進行すると、バクテリアが保護膜を形成し「バイオフィルム」と呼ばれる状態になります。
・バイオフィルムになると、高濃度の殺菌剤を投入しても内部のバクテリアは殺菌できません。
・さらに進行すると「コロニー」と呼ばれる状態になり巨大化し「細菌の温床」になり、細菌以外の微生物も生息します。
・コロニーが過密になると破裂し、内部のバクテリアや微生物が放出されます。
・その状態まで進んだバクテリアは塩素の耐性を持っている場合が多く、殺菌剤が効きません。
・バイオフィルムやコロニーのまま剥離し、水中を漂う場合もあります。
・炭酸水素ナトリウム泉以外の一般単純温泉で、お湯や浴槽がヌルッとしたら、それはバクテリアの可能性があります。
ね、温泉センターに行くのが気持ち悪くなったでしょ?
クローズアップ現代「レジオネラ菌増殖の謎」
衛生管理にはコストが掛かる
入浴施設の清掃には、水(お湯)の「殺菌」と、配管等の付着物を取り除く「洗浄」があります。
中国製の粗悪な殺菌剤をぶち込んでいるだけという衛生意識の低い店もあるようです。
前述のように、適切に殺菌しないとバイオフィルムが付着し、一旦付着するとどんなに殺菌してもダメです。
除去には適切な方法で洗浄するしか無く、かなりの費用が掛かることは容易に想像がつきます。
すればするほど稼働率も下がります。
今回感染死亡者を出した埼玉の店舗は、関東に19店を展開する大手でした。
多店舗展開だと、1店舗でも感染者を出したら他の店舗の集客にも影響しますから、衛生意識は高いと思ってましたが、そうでもなかったようです。
感染者を出したら閉店するかもしれませんが、そのリスクと、衛生コストとのせめぎ合いなのでしょう。
衛生的な入浴施設?
その入浴施設が衛生的かどうかを見分ける方法はないのか?
温泉の成分は掲示されていても、残念ながら殺菌・洗浄方法は掲示されていません。
掛け流しだと循環設備は無いでしょうから安全だと思いますが、
そうでなければ、目に見える部分、例えば浴室や脱衣場の清潔さや足吹きマットを頻繁に交換している店は、客の快適性を重視しており、客の安全衛生にも気を配っていると判断するくらいでしょうか?
あとは、塩素の臭いが強い施設は、塩素系殺菌剤がたっぷりと入っています。
そんな雑な店だと、適切な殺菌を行なってるとは言えず、塩素は多いわ、バイオフィルムは漂ってるわ、ということも考えられますね。
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