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岐阜・美濃加茂市長無罪判決 裁判官が検察の捏造を強く示唆

公開日: 社会・政治

この記事の所要時間: 338

藤井浩人・美濃加茂市長

贈収賄で起訴された岐阜県美濃加茂市の藤井市長に、名古屋地裁は無罪判決を出しました。

この判決が異例なのは、既に贈賄側の有罪判決が確定していること。

裁判官は、その贈賄側である中林受刑者の供述に、検察のでっち上げを強く示唆しました。

 

贈賄側の中林受刑者は有罪が確定

藤井浩人市長(30)は、2013年に全国最年少の28歳で当選。

しかし、市議会議員だった2013年、学校の雨水ろ過設備の導入に絡み、水道機器販売会社を経営していた中林受刑者(44)から、2回に渡り計30万円を受け取ったとして、去年の6月に収賄容疑で逮捕・起訴されました。

藤井市長は、一貫して否認し、無罪を主張。

しかし今年の1月、中林受刑者の裁判の判決で、
「自己の会社の利益を図るため、30万円という少なくない金額を市議会議員に交付した」
と認定し、贈賄・詐欺などで懲役4年の実刑判決が確定しています。

逮捕され身柄を送致される藤井市長
藤井浩人・美濃加茂市長

中林受刑者の供述を疑った裁判官

具体的な物証が無く(物証のある贈収賄は稀ですが)、中林受刑者の供述が唯一と言っていい裁判でしたが、裁判官は、途中から中林受刑者に虚偽の心証を強め、異例の再尋問も行なっています。

中林受刑者の供述では、ファミレスと居酒屋での会食中、同席していた仲介者が席を立った隙に、藤井市長へ金を渡したとなっています。

しかし、仲介者は席を立っていないと証言し、5日の判決でも

「総じて、現金授受について、具体的かつ臨場感のある供述をしているとは言えない」

「(現金の受け渡しについて)曖昧な記憶しか無いのは不自然。受け渡しは2回なので鮮明に記憶に残ってしかるべき。そもそも賄賂は非日常的なものである」

(日常的なできごとであれば記憶が曖昧なこともあるだろうが、賄賂のような非日常的なできごとは覚えているはずだという意味です)

「供述は変遷しており、信用性には疑いが残る」

などとし、現金の受け渡しを認定せず、中林受刑者の供述をバッサリと切り捨てました。

 

検察のでっち上げを強く示唆

そして

「数億円の融資詐欺をする人物が虚偽供述をするのは、難しいことではない」

「詐欺の罪について、なるべく軽い刑で執行猶予を求めたいという意向が働いたと推認できる」

と、虚偽供述との見解を示しました。

さらに

「これらは、検察と入念な打ち合わせを行なったことが考えられる」

証拠に合わせ供述をそろえた可能性も否定できない」

と、検察のでっち上げである可能性も強く示唆しました。

 

詐欺の金額を少なくする司法取引が行なわれた?

弁護側も、中林受刑者が留置中に知り合った男性に
「賄賂について話せば、4億円の内の2000万円分の起訴で終わる」と話していたことを証言させ、検察と中林受刑者で司法取引があったことを示唆しました。

当然、検察は否認しました。

しかし、実際、中林受刑者が約4億円を騙し取ったと自供しているにも関わらず、検察が起訴したのは、当初2100万円分だけで、最終的にも6100万円分に留まっています。

 

贈賄側の裁判は争っていないので有罪なのは当然

1つの贈収賄事件で、贈賄側は有罪、収賄側は無罪という矛盾のある判決となりました。

「モーニングバード!(テレ朝)」では、コメンテーターの長嶋一茂が「よく分かんない。疑わしきは罰せずということなの?」と発言していましたが、そうでは無いでしょう。

中林受刑者の裁判は、前述のように詐欺と本件贈賄が同時に審理されました。

贈賄については、検察が「市長に30万円渡した」と言い、中林受刑者もそれを認めて争っておらず、誰も反証していません。

その結果、当然ながら判決もそれを認定したものになったのです。

 

美濃加茂市を焼け野原にするぞ!と恫喝した検察

無罪判決後の記者会見で藤井市長は

「(自分が無実なのは間違いないが)99%が有罪になることも聞いていたので、判決が出るまではドキドキした」

「場合によっては泣き寝入りするしかない方々もたくさんいるんだろうなと身を持って経験しましたし、このようなことが二度と無いようお願いしていこうと思っている」

などとし、2ヶ月間にも及んだ拘置については

「『お前のようなはなたれ小僧に投票した市民は何を考えているんだ』と市民も侮辱された」

「ひたすら『自白しろ!』と恫喝された」

「『早くしゃべらないと美濃加茂市を焼け野原にするぞ!』と脅された」

と語りました。

 

デタラメで暴走した検察

弁護団の郷原信郎弁護士は

「検察が論告で述べてきたことがいかにデタラメであるか、明確に認識できる」

「控訴など到底認められる事件ではないというのは明白」

「ここまで暴走してしまった検察は、なぜこういうところにまで至ったかしっかり検証しなければならない」

などと語っています。

 

取り調べの可視化と共にマスコミも反省が必要

検察のでっち上げと言えば「村木事件」。

大阪地検特捜部が、自分たちの描いた絵に沿うように証拠を改ざんしたことが発覚し、厚労省の村木局長が完全無罪となった事件です。

今回は無罪となりましたが、やってもいないことで「臭い飯」を食わないようにするためには、やはり、取り調べの可視化が急務だと思います。

なお、逮捕直後の当時の記事は「黒」の論調となっています。

無罪が確定した場合、マスコミにも反省が必要ではないでしょうか。

藤井浩人・美濃加茂市長 藤井浩人・美濃加茂市長

名古屋地検は「判決内容をよく検討し、上級庁とも協議の上、適切に対応したい」としています。

※3月18日追記

18日、名古屋地方検察庁は判決を不服として控訴しました。

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