エキノコックスとは? 愛知の野犬が感染 人にも感染し死に至る寄生虫
公開日:
経済・科学
愛知県の野犬から寄生虫のエキノコックスが発見されました。
北海道以外では2例目。
人間にも感染するエキノコックスとは?
北海道以外では2例目
愛知県の発表によると、同県阿久比町の山林で捕獲した野犬8頭の内の1頭のフンから、エキノコックスの虫卵が確認されたと発表しました。
北海道以外の犬では、2005年に埼玉県で発見されて以来2例目。
愛知県健康対策課では、以前北海道で飼われていた際に感染した飼い犬が、引越等で愛知県に移った後、野犬となった可能性が高いと考えているそうです。
今後も同様の事由で、感染した飼い犬が北海道外に移住する可能性がありますので、道外の住民もエキノコックスの知識を身に付けていた方がいいと思います。
人間にも感染
エキノコックスは、人や動物に感染する寄生虫で、世界に多く存在し、牧羊地帯に多発するそうです。
ただし、単包条虫のエキノコックスと多包条虫のエキノコックスがあり、他国は単包条虫で、北海道の多包条虫とは別種とのこと。
【感染サイクル】
虫卵
終宿主である肉食獣のフンとともに排出された虫卵は環境中に広がり、低温で湿った状況では長期間生存し、乾燥や高温では死滅
↓
幼虫
虫卵に汚染された粉塵,水,植物などを、中間宿主である草食動物や小動物が経口摂取し、幼虫となって、主に肝臓に寄生
↓
成虫
終宿主が中間宿主を捕食し、その臓器から感染した幼虫が成虫となって、小腸粘膜に寄生。
成虫は感染後26日以降に虫卵を排泄し始めますが、成虫が増殖することはなく、寿命は2-4ヶ月程度。効果の高い駆虫薬があります
北海道では、主に感染した野ネズミを捕食したキツネが終宿主とされ、道庁による2000年と2001年の調査では、全道のキツネの約40%、札幌周辺のキツネは約60%の感染率でした。
人間にも経口感染するとされ、毎年、北海道で10〜20人の患者が報告されるそうです。
以前、感染したキタキツネの存在が大きくクローズアップされ、餌付けなどでキタキツネに接触しないよう注意喚起されています。
飼い犬の感染経路
北海道庁で野犬や放し飼い犬約1万頭を調査した結果、約1%が感染していたと報告されています。
感染経路は、キツネと同様に感染した野ネズミを捕食し、その臓器を食べたためで、キツネから直接感染することはなく、犬同士でも感染しないそうです。
また、汚染されたフンの周りの粉塵を嗅ぎ回って虫卵を経口摂取したとしても、感染することはありません。
しかし、キツネの40%〜60%の感染率にも驚きですが、犬の1%もかなり高い感染率ですよね。
野犬も含まれているので,飼い犬だけの感染率は分かりませんが。
また、私も犬(レトリバー)を飼っており、食べ物への執着が強い(平たく言うとがっついてる)犬種ですが、野山に連れて行ったとしても野ねずみを完食するとはとうてい思えません。
見かけたら追いかけ回すでしょうけど、そもそも捕まえられないでしょうからね。
北海道の犬の飼い方はワイルドなんでしょうか。
動物性タンパク質は自力で摂るようにしつけられているとか(^_^;)
人と犬の感染経路は異なる
前述の【感染サイクル】に当てはめると、飼い犬は終宿主ですが、人は中間宿主になります。
虫卵に汚染された粉塵や水,食物などから経口感染します。
感染すると、幼虫になって主に肝臓に寄生し、ゆっくりと増殖しますが、肝機能は正常のままです。
自覚症状が出るまで10年以上かかり、その頃には握りこぶしから子供の頭くらいの大きさになっており、膨満や不快感などの症状が出ます。
その後、肝機能障害が出て、放置すると死に至ります。
致死率は、未治療の場合94%にも上ります。
ただし、治療時は0%です。 感染症による致死率一覧・ランキング
とはいえ、治療は、手術での切除ということになりますから、予防と早期発見が重要です。
予防と早期発見
飼い犬が感染すると、そのフンの処理などから、飼い主に感染するリスクは高くなります。
野外で飼い犬が野ネズミを食べたことを発見したり、野山を連れ回った場合、大型の庭園内で放し飼いされているなど、エキノコックス感染のリスクが高い場合、駆虫薬の予防的な投与が有効です。
野ネズミを食べてから虫卵が排泄されるのは約26日後ですから、それまでに駆虫すると、虫卵は全く排泄されません。
また、人の感染予防としては、
・野山の山菜や果実は、良く洗うか充分に加熱する
・沢水などの生水を飲まない
・野山に出かけた後は、必ず手を洗い、衣服や靴についた泥もよく落とす
・キツネに触らない(体毛に卵が付着している可能性があります)
幼虫に感染した場合、薬物療法もありますが、基本的には手術での切除となります。
肝臓で大きく進行した、肝移植が必要となる重篤な病気です。
感染後、長い年月は自覚症状が有りませんから、早期発見が難しい病気とも言えます。
感染リスクが考えられる場合は、定期的な血液検査が推奨されます。
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