蚊を放出?! ブラジルでデング熱撲滅プロジェクトがスタート
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経済・科学
現在も患者が増えているデング熱。
日本より患者数が桁違いに多いブラジルで、 デング熱撲滅プロジェクトが始まりました。
それは、ある細菌を持った蚊を放出するというもの。
低コストで環境に優しい、画期的な方法とは?
デング熱患者は現在も増加中
デング熱患者は現在も増えており、18都道府県150人近くになっています。
しかし地方で新たに感染した例は無いので、やはり感染者も感染した蚊も一定数以上いないと感染は拡大しないようです。
逆に言えば、代々木公園以外でも感染が確認される都内は、あちこちの公園等に一定数以上の感染した蚊が存在するということになります。
デング熱の発生国は数多く有り、日本から最も近い発生国の台湾は、今年既に2,500人の患者が発生しており、東南アジア諸国でも数千〜数万人の患者数となっています。
しかし、南米ブラジルでの患者数は桁違いに多く、昨年は140万人にも上りました。
そのブラジルで、デング熱撲滅の実証実験が始まりました。
デング熱撲滅プロジェクト
デング熱撲滅プロジェクトは、2005年に始まり、現在、オーストラリア主導で10ヶ国の研究機関から約60人の科学者が参加しています。
それは、ボルバキア菌という細菌を持った蚊を増やすというものです。
デング熱は、デング熱ウィルスに感染した人を刺した(吸血した)蚊が、体内でウィルスを増殖させ、他の人を刺すことで感染が広がります。
インフルエンザなどと違い、人から人には直接感染しないので、比較的防疫しやすい伝染病と言えます。
ちなみに、吸血するのは産卵前のメスだけです。
ボルバキア菌を持った蚊(以下、ボルバキア蚊)は、デング熱ウィルスに感染した人を吸血してもウィルスが増殖しないので、その蚊が他の人を刺してもデング熱に感染しません。
ボルバキア菌は自然界に存在し昆虫類に寄生している細菌で、人体には全く影響がないそうです。
また、昆虫の生殖に影響を与えますので、次世代もボルバキア蚊が生まれます。
上の図で、
オスメス双方がボルバキア蚊の場合 → 子供もボルバキア蚊
メスがボルバキア蚊の場合 → 子供もボルバキア蚊
オスがボルバキア蚊の場合 → 卵はふ化しない
結果が速く、低コスト
2011年にオーストラリアのクイーンズランド州ゴードンベールで実験した際は、4ヶ月で蚊の90%がボルバキア蚊になったそうです。
インドネシアのジャカルタでも実験がスタートしており、今回のブラジルの実験は、リオデジャネイロのスラム街に、4ヶ月間、毎週1万匹のボルバキア蚊を放出し、その後データ検証をする予定になっています。
ブラジル保健省によると、ブラジルではデング熱対策に毎年約130億円を支出していますが、このボルバキア蚊プロジェクトでは、4年間で1.3億円しか掛かりません。
環境にも優しいボルバキア蚊
殺虫剤を使わないので環境を汚染せず、また他の虫を殺しません。
前述の図の3番目の組み合わせでは卵がふ化しないので、蚊の総数も減ります。
今後、日本へも導入も期待されます。
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