補助金交付企業からの献金 「知らなかった」で無罪の不思議
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社会・政治
西川公也前農水省から始まった「補助金交付企業からの献金」問題。
しかし、勢いづいて追求していた民主党は、岡田代表にも同様の献金が明らかになった途端、トーンダウンしました。
西川前農水省から始まった違法献金ドミノ
補助金交付企業からの政治献金問題は、2月23日に西川前農水省が辞任した後も、続々と政治家の名前が挙がり、民主党は「政治と金」を厳しく追及。
国会の法案審議が停滞しています。
そして3日には、ついに安部首相にも波及。
しかし同日には、民主党の岡田代表にも同様の献金があることが明らかになりました。
違法献金ドミノ一覧
日付 | 議員 | 該当企業 | 金額 | |
---|---|---|---|---|
2/23 | 西川公也前農水省 | 木材加工会社 | 300万円 | 返金 |
同 | 精糖工業会の関連企業 (精糖工業会館) | 100万円 | 返金 | |
2/26 | 下村博文文科相 | 反社会勢力と関係があるとされる男性 | 10万円 | 返金 |
2/27 | 望月義夫環境相 | 鈴与(物流会社) | 140万円 | 返金 |
上川陽子法相 | 鈴与(物流会社) | 60万円 | 返金 | |
3/3 | 安部首相 | 東西化学産業 | 12万円 | |
同 | 宇部興産 | 50万円 | ||
甘利明経済再生担当相 | 国交省から補助金交付の企業 | 12万円 | ||
林芳正農水相 | 農水省から | 10万円 | ||
同 | 経産省から補助金交付の企業 | 50万円 | ||
岡田民主党代表 | 補助金交付企業の持ち株会社(日清製粉グループ) | 24万円 | ||
3/4 | 菅義偉官房長官 | 園芸会社 | 5万円 | 返金 |
上記以外にも、自民、民主、維新、生活の各党で、交付決定から1年以内の企業からの献金を受けた議員の名前が挙がっています。
抜け道がいっぱいの政治資金規制法
今回の問題は、「国からの補助金を受け取っている会社からの献金はダメ」という誰でも分かる規定に引っ掛かるというものです。
しかし、これには抜け道があります。
ダメなのは「国の補助金交付決定通知から1年以内で、そのことを知りながら政治献金を受ける」ことです。
逆にセーフなのは、
①補助金交付企業と知らずに受け取る
②交付決定者が国ではない(県や市などの地方自治体などを経由している)
③補助金交付企業の関連会社や別の企業、団体を経由している
④試験研究や調査、災害復旧など利益を伴わないもの
「知らなかった」と言えばOK!
西川公也前農水相は、補助金を交付された「精糖工業会」と実質的には同一であると思われる「精糖工業会館」からの寄付を、③に該当するので「問題ない」と言い張っていました。
官邸も同じ考えで強く慰留しましたが、「分からない人には分からない」との捨て台詞を残して辞任。
岡田民主党代表も、補助金を交付された「日清製粉グループ企業」の「持ち株会社」からの献金を「2つの会社は別法人なので問題ない」と主張しています。
他のセンセイたちは、ほとんどが「知らなかった」「承知していなかった」と、①に該当するので「問題ない」という主張です。
そりゃ誰も「知っていた」とは言わないでしょう。
安部首相も
「こちら側には知り得ない寄付というのはあるわけでございます。実際知らなかったわけでございますから、これ以上言いようがありません」とケツをまくっています。
「関連会社だからいい」「知らなかったから問題ない」というのは、フツーの感覚では通用しません。
また、④についても、本来企業が負担すべき研究開発費(の一部)を出してもらうのであれば、立派な「利益」なので、対象外というのは理解できません。
また「交付決定から1年間」というのもおかしいでしょう。
補助金交付目的の贈収賄のことを考えると、交付決定前後の数年間(例えば、決定前4年間、決定後4年間の計8年間)とすべきです。
これらのことだけでも、政治資金規制法は、お手盛りのザル法だというのがよく分かります。
民主党「そろそろやめにしましょうか?」
民主党は、岡田代表の献金が明るみに出た途端「そろそろやめにしましょうか?」と言い出しました。
引き続き追求して行く方針としながらも、安住国対委員長代理は、
「議員それぞれの責任もあるけれども、一方で法の不備もあるので」として、規制法の周知や罰則の強化などを提案。
安部首相も
「国民に分かりにくいあいまいなところがある。現行制度でこうした問題が生じないように、規制のあり方を各党で議論していただく問題だ」と述べました。
これで通常に審議に戻るものと思われますが、自民と民主の泥仕合の間、国会は止まり、自衛隊法改正案,危険ドラッグの輸入規制法案,東京オリンピック特別措置法案などの重要法案が成立しない恐れが出てきています。
また、予算が成立せず、暫定予算となるかもしれません。
日本の政治は「いつか来た道」を歩んでいます。
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