妻を乳がんで亡くして【葬儀は無宗教で】
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生活・文化
早朝、息子からの電話ですぐに病院に向かいましたが、妻は息を引き取った後でした。
まるで眠っているような穏やかな表情でした。
その日の午前中に斎場を決め、葬儀は無宗教で行うことにしました。
この記事は、以下の記事の続きです
(1) 妻を乳がんで亡くして【乳がんの発症〜乳房・リンパ節切除編】
(2) 【手術後の抗ガン剤治療・放射線治療編】
(3) 【乳がんの転移再発・余命宣告編】
(4) 【肝臓や脳への転移・症状編】
(5) 【緩和ケア・ホスピスとは】
(6) 【容態が悪化し緊急入院】
(7) 【ホスピス入院申し込み】
(8) 【突然、余命1週間に】
(9) 【苦しむ患者をワガママと言った看護師】
(10)【ホスピス(緩和ケア)に転院】
妻の死に目に会えず
ホスピスに転院してから3日目の朝、6時過ぎ、病室に泊まった息子から電話がありました。
「すぐに来てくれ」
飛び起きてホスピスに向かいましたが、間に合いませんでした。
急変後10分足らずで息を引き取る
妻は、夜半過ぎから呼吸が少し苦しそうになったので、試験的に一定量の酸素吸引を始め、その数値と容態を見ながら、今後の方針を考えるということになりました。
昼夜の逆転のせいか、夜間は頻繁に痛みを訴えましたので、看護師の朝方の巡回の際「夜よく眠るような痛み止めの処方をドクターと相談してみる」ことになったそうです。
そのすぐ後から呼吸が不規則になったので、看護師を呼ぶと「すぐにご家族を呼んでください!」との指示。
息子が私に電話した後、10分足らずで、妻は息を引き取ったそうです。
ホスピスに宿直医は居ない?
私も泊まればよかったと悔やみました。
私の性格でしょうか。
あと2〜3ヶ月と聞いたら、3ヶ月後。
あと数日と聞いたら2〜3日後と思い、「翌朝ということもあり得る」とは考えませんでした。
ベッドの横で看護師が、亡くなった症状と経緯を話してくれましたが、内容はよく覚えていません。
ただ、臨終の宣告(死亡判定)は、ドクターが出勤してからということでした。
ホスピスには宿直医はいないのだということを知りました。
延命、救命処置を行わないので、必要はないのでしょう。
家族葬の斎場に申し込みに
「患者が死亡したらすぐに病院から追い出される」と聞いていましたが、このホスピスは今日いっぱいはこのまま病室に安置して構わないとのことでした。
しかし、できるだけ早く移送するに越したことはないので、まず自宅に帰って、妻に着せる服を選んで、また病室に戻り、清拭(せいしき)の担当の方に渡しました。
そして、時間前でしたが、見学を予約していた家族葬の斎場に行き、思い描いていた通りの、きれいで雰囲気のいい斎場でしたので、その場で申し込みました。
無宗教での葬儀にしました。
宗教儀式へのこだわりが無いのと、費用軽減のためです。
費用に関しては、医療費などを含め、別の記事でまとめて書きます。
ホスピスのスタッフが整列して見送り
病室に戻ると、妻は清拭と死化粧が済み、マニュキュアもきれいにされていました。
斎場へ移すため、遺体をストレッチャーに乗せて看護師や斎場のスタッフと一緒に廊下に出ると、普段は流れているBGMがやみ、各病室のドアも閉まっていました。
病室は一番奥にあり、搬送用エレベーターはフロアの反対側でしたので、長い廊下を進むと、スタッフの方々が並び、深い一礼で見送ってくれました。
1階の遺体用の出口にも主治医やスタッフの方が並んで待っており、準備されていた祭壇に焼香してくれました。
妻が余命宣告をされてから、私は、自分でも驚くくらい泣き虫になっていました。
妻の友人に電話をしては泣きじゃくり、ホスピスの面接に行って病状を説明しては泣きじゃくり、余命1週間や妻が「もう死にたい」というのを聞いては泣きじゃくりました。
加えて私は「関係者が整列して哀悼を示す」という光景に弱く、病室から1階の出口までに涙が溢れましたが、何とか持ちこたえていました。
しかし、外に出て遺体をクルマに乗せようとすると、そこにも多くの病院スタッフの方が整列しており、それを見たらもうこらえきれずに泣きじゃくりました。
挨拶をしようとしても話すことができず、息子が引き取ってくれました。
微笑んでいるような穏やかな表情
午前中には移送が終わりましたので、通夜はその夜に行いました。
無宗教葬儀ですのでお寺さんは来ません。
妻の遺体は、鼻や口に綿が詰められていませんでしたし、表情も闘病中より穏やかでした。
参列者も、揃って「まるで眠っているみたい」と話していました。
特に夜になってからは、照明の具合か、あるいは死後硬直の進み具合のせいか、微笑んでいるように見え、また涙しました。
無宗教葬儀
葬儀は翌日でした。
前述しましたように、妻は眠っているかのようでしたので、棺に入れず、寝台に寝かせた状態で、参列者にお別れをしてもらいました。
通常でしたら、読経、焼香、喪主挨拶で約1時間の所要時間で進行します。
しかし読経がありませんので、最初に焼香、そして喪主挨拶の後、斎場の方にお茶やコーヒーを準備してもらい、アメリカの葬儀のように参列者で時間まで歓談していただきました。(葬儀に「歓談」というのは適切な言葉ではないかもしれませんが)
その際、明日は妻の誕生日だったというのを知った斎場のスタッフが、誕生日ケーキを用意していてくれたので、それでまた涙しました。
参列者の多くから「いい葬儀だった」と言っていただいたので、妻への供養になったと思います。
無宗教での葬儀は私も初めてでしたが、祭壇が無い葬儀のイメージがつかない方も多いかと思いますので、参考までに写真をアップします。
なお、遺体と遺影はボカシています。
葬儀の後、親族で火葬場に移動し、火葬を終え、妻は小さな骨壷に入って、自宅に帰りました。
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